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サロン21

「憲法を守って国滅ぶの愚」

〔1〕当月は、鳥海さんのご紹介で、海外経験のご豊富な安田茂氏にお越しいただき、海外の憲法と比較しながら日本の憲法のあるべき姿について考えてみました。
安田氏より、各国の憲法やさまざまな事例を参考にしながら、日本を取り巻く内外の環境について解説があり、
日本は戦後のマッカーサーによるWGIP政策と平和憲法によって戦後72年経っているのに「国家の危機管理」が時代の大きな変化に適応できていない。
国民に「危機管理」の意識が希薄なのは「内なるリスク」の最たるものである。
憲法学者の80%が改正反対であることをその第一の象徴的な現象としてあげたい。結果、日本の領土・領海を護り、国家の安全保障を担保する法整備も含めて、戦後の東アジア情勢の激変に対して、残念ながら準備・対応が全く不充分であると言わざるを得ない。
 昭和30年に保守合同が行われたが、憲法改正・自主防衛の鳩山路線と経済重視・自主防衛放棄の吉田路線の対立が、憲法改正問題でも後を引いており、今に至っても国民の目を開かせるリーダーシップが取れないのは残念なことである。
就中、昨今、中国・北朝鮮などの軍拡が急激に進む中で、わが国は憲法改正も含めて国家の危機管理に真剣に向き合わないと日本の存立が危ぶまれる事態となってきているのではないか、
とのご説明があった。

〔2〕引き続いて出席者9名による質疑応答と自由な討論が行われ、下記のような意見が出た。

  • 経済が混乱を極め、国土の砂漠化が進んでいる中国にとって、日本は緑豊かで美しく、美味しい国。国民の危機管理意識も乏しいので、策を弄して戦わずして手に入れることを上策としているのではないか。
     中国からの危機は「武力を用いた侵略」と言うよりも、相手を油断させていつの間にか抵抗できなくする「浸透」と言う長期戦略である。
     憲法に拠って「平和を愛する諸国民の公正と信義に我らの安全と生存をかける」日本人の危機管理は全く現実に即応していないと言ってよい。
  • チベット、ウイグル、内蒙古、満州でも同様のことが起こっている。
  • 北海道など、全国的に中国人による土地取得が進んでいる。
  • 1925年制定の「外国人土地法」では相互主義によることを定めているが、現在は同法に基づく新しい政令もなく、外国人による土地取得については無きに等しいと言ってよい。
     事実、中国は外国人の土地取得を認めていないが、中国人の日本での土地取得年々増加している。
     日本にも米国のExon Florio Provision を含む「包括通商競争力法(The Omunibus Trade & Competitive Act of 1988)の様な国の安全保障を脅かすような外国企業による買収案件については何でもストップがかけられるような法整備が急がれるのではないか
  • 米中国交回復は米国国務長官も日本政府も知らされないまま、キッシンジャーがニクソン大統領を動かして実現した。米国外交は変わり身が早い。  そして米国のグローバル企業はすかさず、北京と交渉を重ね中国利権を中国がWTOに加盟する10年以上も前に確保している。
  • 2001年にWTOに加盟した時も、米国は中国に「資本取引の規制」を例外的に認め、中国元のドルペッグを許したので、比較生産費の優位性の維持を可能にし、膨大なる貿易黒字を継続的に計上、驚異的なスピードで経済大国へと成長したのである。
  • しかし、フィルズベリー著作などに見られるように米国知識人の間で、対中政策見直しの機運が広がっている。トランプ大統領の登場もあり、対中外交は特に通商政策で今までの不均衡の是正をスーパー301条で迫られる可能性もある。
  • 一方中国経済の実情もかなり厳しいようだ。2016年の中国GDPは11.2兆ドルと発表されているが、IMFによれば今年末の不良債権は7.6兆ドルと見込まれている。これを差し引けば実質のGDPは大幅減となる。
  • 中国の保有外貨は3兆ドルと発表されているが、対外債務が多く実質の外貨はマイナスとも言われている。
  • ソ連のGDPは1991年の崩壊後、英国のエコノミストたちが調べた所、崩壊前の公表数字の半分であったと言う報告もある。崩壊後、高級官僚たちが海外へ不法に国家資産を移転したことも大きな要因であっただろうと言われている。
     とにかく共産圏の経済統計数字はかなり現実とはかけ離れていると考えてよい。
  • AI,ロボットなどの進化により、安い労働力が比較生産費で国際競争力の源泉であった時代は終わるかもしれない。為替のドルペッグで比較生産費のメリットを維持してきた中国も新しい局面に立たされることになる。
  • アベノミクスは経済の活性化に一定の貢献はしてきたが、株式も国債も半分前後を日銀が保有する事態は異常だ。
  • 米国のFRBは100%民間資本の組織、一方、日銀の50%の株主は日本政府だが、残り半分の株主は非公開。ロックフェラーやロシア資本が株主に名を連ねているとも言われるが、日銀の運営に影響を与えている可能性もある。

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