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川口ひろ子作品集 「私はフォルトゥーナ」

 この本は、傘寿を迎えた川口さんのこれまでの生涯を顧みた自分史(第1章)とこよなく愛する音楽にまつわるエッセイ集(第2章)の二部構成です。
 高度成長期に静岡から東京に出て、生き馬の目を抜くアパレル業界に飛び込んだ川口さんは、幾多の困難を乗り越えて自立し、会社を立ち上げた。その間どんなときも心に寄り添って支えてくれたのがクラシック音楽、そして同好の仲間という。
 川口さんにとって音楽は趣味を越えた人生の伴侶。だから感動した演奏は心から褒め称え、不満なときは忌憚ない指摘をする。
 彼女は、仕事を終え、音楽を堪能し、今聴く喜びを文章にすることに挑戦中とか。今回はその第一作目。続編を期待したい。
 なお、アパレル界で養われた感性によるものか、この本の装丁も抜きん出ている。

濱田 優

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