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「800字文学館」 日常生活雑感

「指先のタッチちと変え様子みる」(酔雅)

西川 武彦

 標題は当クラブの川柳勉強会のために筆者が詠んだ作品です。兼題は、「変える・チェンジ」。折から、普天間を巡り宇宙人がふらついていたので、もう一句は、「腹案は右に左に場所を変え」と詠みました。合評では、前者については、古希を過ぎた高齢者の句としてはいかがなものかという眼差しであらぬ疑いをうけましたが、これは時事川柳なのです。

 パソコンを開き、グーグルで情報を検索します。画面が現われると、さらにタッチを重ねネットを手繰って新しい発見に興奮する。花街をとうに卒業した詠者は、ひたすら書斎に籠もり、ボケ防止のためにもタッチ、タッチに熱中しています。その結果得られた知識、情報などをネタに川柳を詠み、エッセイを綴り、小説を書くのです。狙いはその辺りだったと記憶しているのに、可笑しな誤解を生んだのは不徳のいたすところかもしれません。もっとも、タッチの選択を誤り、思わず息を呑む出会いがあって、目が釘付けになることはありますが。

 5月末に携帯端末「iPAD」が日本でも発売されました。大きい画面で新聞が読める、写真をタッチすると動画が走りだす。新聞にテレビが同居しているようなものです。プレイボーイなど雑誌の電子化も進んでいるようです。アイフォーンでは世界のラジオを聴くことができますが、アイパッドでは世界のテレビがみられるとか。指のタッチでページを変えながら小説も読めます。画期的なメディアが生れる予感がします。

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