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「800字文学館」 体験記・紀行文

2人の孫との50日

松谷 隆

 5月22日の深夜、成田から17時間かけて、アメリカ・バージニア州リッチモンド市郊外の娘宅に着いた。
 彼女の第2子出産前後の手伝いのためで家内は家事全般、筆者は買いだしや4歳半の長男のプレスクールへの送迎など運転担当だ。いろんな準備のため、予定日より3週間も早く出かけた。が、到着6時間後に娘が入院、家内はその瞬間から帰国まで昔の主婦に逆もどり。

 翌日昼前、なんと20日も早く第2子が誕生した。女の子で4人目の孫だ。無痛分娩の麻酔と陣痛とのタイミングがずれて、娘は力めず吸引分娩になった。
 このため、体重は2500グラム、手足は赤ちゃん特有のくびれもなく細い。さらに吸引のせいで頭部にコブができた状態で、大丈夫かと心配した。しかし、2日後の退院時には、大きな泣き声と、手足を盛んに動かす様子にホッとした。

 誕生後、「小さいね」と言われたこの児は、空腹時に大声で泣き、よく母乳を飲んだ。また昼間は手足の運動を十分し、よく寝た。だが、夜はねむらずに両親を困らせていた。2度の検診も問題なし。
 アメリカの新生児の体重は、女の子で1日約30グラム増が標準という。彼女はそれ以上に成長し、40日後には4000グラムを超えた。そして表情も豊かになり笑顔もよい。手足にはくびれも見える。コブも目立たない。今後もっと生命力をつけるだろう。

 「ママはいつ帰るの」と泣きべそをかいた長男も、2人の退院で安心したのか、妹をあやし始めた。さらにアメリカ人の誕生会への初招待には大喜びで出席し、同級生とうまくやっている。
 ただ、我々の英語の発音がおかしいと、「こうだよ」と何回も繰り返し、最後に一言、「何か足りない」には参った。

 出生証明書や社会保障番号も各役所の御用聞きが病院で希望者の依頼を集め処理している。日本でやればうけるにちがいない。

 あわただしく、あっという間の50日。彼らから元気をもらった。しかし、母親の大変さには改めて脱帽!

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