日常生活雑感
武豊浦和競馬場に来る!
競馬場にも時々顔を出す。賭けが目的ではない。パドックを周回する磨き上げられたサラブレッドたちは美しいし、騎手を背に彼ら、彼女らが正面スタンド前を通過して行く姿はとても格好いい。そして第四コーナーを廻り、懸命に先頭に立とうとする勝負どころの迫力は、馬券を握っていなくても興奮する。そんなわけで時々競馬場へ行く。
十万人も収容するような中央競馬場では、馬は点にしか見えないが、地方競馬場では、手を伸ばせば届くようなところに彼らはいる。ただ難点は平日開催のため行きにくいことである。しかしそこへ武豊が浦和に来るというニュースが飛び込んできた。ミーハー的ではあるが実物を見たい。
さてお目当ては、騎乗命令がかかると、騎手のたまり場から、さっと飛び出してきてパドックを一周、さっさと返し馬に行ってしまった。「武さーん、頑張って!」と元黄色い声も飛んでいたが、あっさり無視されて気の毒。取り囲んだ観客に一瞥もくれず、やや傲慢な感じもするが、一週前はパリの凱旋門賞に出ていた世界有数の騎手、浦和に来ること自体不思議な気もする。
武の乗るのは、この日のメインレース、ダート二、〇〇〇㍍、十頭立て、一着賞金四千万円の重賞競争浦和記念である。直前のオッズは一・一倍。
騎乗馬「スマートファルコン」は中央で四勝、地方で十二勝している実績馬でこれも当然か。馬券としては相手探しになるのだが、いくら過去の戦績が傑出しているといっても、勝負はやってみないとわからない。大穴だってありうるし、このレースがそうなるかもしれない。それで大本命を外し、他の九頭を単勝でそれぞれ一、〇〇〇円買ってみた。武の走りっぷりを見たかったのと、負けることも期待するという複雑な観戦態度である。
結果は本命馬の圧勝。「スマートファルコン」は一度もハナを譲ることなく逃げ、武も手綱を握ったまま、直線でムチを入れることもなく六馬身差の圧勝。競馬は馬七割、騎手三割と言われるが、両者ともこう強くては他馬は相手にならない。
(2010.12.10)