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「800字文学館」 スポーツ

ゴルフクラブが14本に制限された理由

都甲 昌利

 ゴルフはボールをクラブで打って穴に入れるスポーツである。遠くへ飛ばしたい、高い弾道でグリーンを狙いたいなど、さまざまなクラブが必要となる。人間の心理としてコースにいろいろなクラブを持参し、プレイをしたいという欲望にかられる。1800年初頭まで本数には制限がなかった。
 1859年に全英アマに出場したジラードという選手が2台のリヤカーに樽を載せ、その中に55本のクラブを入れて試合に臨んだ。現在のように電動カートなどない時代で、驚いたのはキャディだった。第一に、運ぶのに骨が折れた。第二に、55本もあるのでクラブ選択に時間がかかった。
 キャディはゴルフ界のルールを決定する(R&A)に直訴した。理事会が開かれ、「クラブの本数は1ダース プラス パター1本の合計13本とする」ということで理事全員の一致を見たが一人が異論を述べた。「ゴルファーは縁起を担ぐ。13という数字は不吉な数です。一本増やして14本としたらいかがですか」反対するものはいなかった。
 このとき以来、ゴルフトーナメントは14本で争われることになった。このことによってゴルファーの間でさまざまなエピソードが残っている。

 1961年、全英オープンがパークデールGCで行われたとき、クラムリッジ選手が1番グリーンでパターを入れてないことに気づいた。代わりにドライバーを使って18ホールを終了したという。なんとパット数は38でパターを使うより良かった。
 1980年、英国のサッセクスで行われた全欧アマ選手権大会でドイツ人選手のクラブがバッグごと盗まれた。古い予備のクラブ5本を使用し戦い好成績を残したという。英国のR バートンという選手も7本のクラブでプレイして全英オープンに6回も優勝した。
 クラブ本数制限は14本であるが、これを見ていると、14本も必要なのかという気になる。
 私などもフルセット持って行くが使わないクラブが何本かある。

(R&A)Royal and Ancient Golf Club of St. Andrews

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