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「800字文学館」 政治・経済・社会

今年の年賀状

上原 利夫

 新年おめでとうございます。
 ご一家の皆様お元気でいらっしゃいますか。この数年、世の中も私も変化の多い日々でした。私はいま二○代三〇代の人が希望をもって働ける日本の再構築を目指しながら、株式会社の理念と運営を抜本的に見直す研究に取り掛かりました。家庭では、妻が難病(重症筋無力症)に罹り百日入院し、現在は自宅療養をしながらステロイド服用を漸減しています。GM勤務の長男が上海へ移住しましたので、長男に貸していた家に戻りました。
 皆様におかれましても、健やかにお過ごしください。

 サブプライムローン、リーマンショックによるアメリカ発金融危機の煽りをくらって、日本はなかなか立ち上がれません。財政の行き詰まりが、二○代三〇代の働く人の勤労意欲を阻害しています。一五年後彼らが日本の中堅となるまでに、日本に適合する会社の理念(国際会計基準による日本的経営)と運営(社会責任の遂行)を確立すべく、研究を始めました。欧米と異なる日本資本主義精神に着目します。
 昨年二月に朝日新聞の「私の視点」欄へ投稿した公益重視の監査役論は、立法関係者が与党の力不足を懸念するのか進みません。私の抜本的な年金財源捻出案も、朝日新聞は取り上げてくれません。マスコミは、深い海底のうねりを避けて、さざ波を追います。
 妻の退院後は、五年前まで一九年住んだ我が家に戻れて、彼女のストレスは治まっています。しかし、自宅での炊事を軽くし、栄養とカロリー管理を容易にする、一日二食の宅配は気分が変わらず、不満のようです。一病息災を説いてなだめています。
 七五歳になって、予想もしなかった出来事に次々見舞われました。これらを一つずつ乗り越え、今後一五年の人生設計が纏まりました。人事を尽くして天命を待つ心境です。

(二○一一・○一・一二)

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