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「800字文学館」 スポーツ

ゴルフ・ルールはイングランドで作られた

都甲 昌利

 今日のようにゴルフが盛んになったのは、多分にゴルフ発祥に地、スコットランドからイングランドに入り、ルールが確立されゲーム化されてスポーツになったからだと思う。イングランド人というのはラグビーにしろ、サッカーにしろ現在世界中でプレイされている殆んどのスポーツを考え出した人種だ。もしイングランドではなくほかの地に渡っていたらゴルフはそれほど発展はしなかっただろう。

 だから、ゴルフの中にはイングランド人というか英国人のものの考え方が多く詰まっていて、彼らはそれを誇りに思っている。ルールを守りマナーを身に付けフェアプレイの精神に富み、「自由と規律」のなかでプレイするのがゴルフなのだ。
 ルールができた時、紳士を気取るイングランド人に対し「紳士というものはスコアをごまかさずにプレイが出来ないものか」とおおらかなスコットランド人が皮肉っているのが面白い。イングランド人も負けじと「スコアが少ないほど良いのは、ケチなスコットランド人が考えたからだ」応戦する。

 ロンドン郊外にウエントワース・ゴルフ・カントリークラブという格式あるゴルフ場がある。1978年、世界マッチプレイ選手権が行われた時、青木功選手がゲーリープレーヤーら強豪選手を破り優勝した由緒あるコースだ。会社が法人メンバーだったので私もしばしばお客様を案内しプレイをした。メンバー登録をする際、日本で属しているゴルフクラブのハンディキャップ証明書の提出を求められた。ビジターというのは元来、自分が所属しているゴルフクラブから他のゴルフクラブのコースでプレイする者をいうのだ。したがって、ビジターはハンディキャプ証明書を提示しなければ拒否された。証明書を持たない日本からの来客の接待には苦労した。これなどは、ルールを守り「他人に迷惑をかけない」というイギリス人独特の考え方の表れだろう。クラブというのは本来「隔離されたもの」という英国人特有の考え方がここでも見られる。

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