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「800字文学館」 体験記・紀行文

中山道を歩き終えました

清水 勝

 我ら旧中山道歩きは2月19日にようやく京都三条大橋に到着した。日本橋をスタートしたのが平成20年10月21日だったので、冬場を避けて月一回のペースで2年4ヶ月も掛かった。

 高崎までは日帰りで済んだが、それ以降は2~3泊しての歩きで22泊もしたことになる。旧東海道が491キロ・53宿に対して、旧中山道は537キロ・69宿。さらにその名も海への道・東海道に対し、山への道として、かつては東山道といわた通り山越えが多い。我らも四人でスタートしたが途中で一人が山道は無理だと残念ながら棄権してしまった。

 それだけに十数か所の峠を越えて京都に着いたのは旧東海道歩きに比べて喜びも大きく、この際、少し贅沢に京都を楽しもうということになった。まずは本能寺に出掛け信長の無念を感じ取りながら、寺町通りを歩く。姉三六角蛸錦と言われる小路を渡り四条に着く。ここまで来たら祇園だと、今宵の店を確認方々、『一力茶屋』のある花見小路へ。時は午後2時半。カメラ小父さんのたむろする観光通りには、期待を裏切ることなく、普段の和服着を着た日本髪の女性に出会う。祇園だなと実感しながらも夜の楽しみが倍加してくる。

 京都の純日本旅館は午後4時がチェックイン。「もっと京を楽しんでおいでやす」ということなのだろう。街道歩きの疲れを忘れ、では次と、石塀小路を歩く。ここは一見さんお断りとされる片泊りの老舗旅館がひっそりと並ぶ。なる程、旅館とは思えないしっとりした佇まいだ。

 さてさて、夜の打ち上げは歌舞練場近くのおばんざいのお店へ。途中には有名な置屋さん、料亭があり、だらりの帯の舞妓さんに会釈しながら(無視されたが)到着。旅人の出で立ちであると事前に断っていたものの、和服姿で迎えられるのには申し訳ない感じだ。やがて、あれ?京ことばが変だなと気付いた。聞くと、中国からの留学生で京都ノートルダム女学院に通っているという。

 おお、グローバル!

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