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「800字文学館」 スポーツ

お達者に!

濱田 優(ゆたか)

 今年のセパ交流戦もパリーグの圧勝で終わった。
 セで勝ち越したのは中日だけ。これで交流戦開始以来パの七連覇となった。
 こんな新聞の見出しを拾っていると、パソコンのキーを打つ手が踊りだす。そう、ぼくは1950年に2リーグ制が発足して以来のパのファンなのだ。

 敗戦後ほどない小学校の4年生のころ、おじさんに連れられてはじめて野球観戦に行った。おじさんは熱心な巨人ファンだったけれど、ぼくは東急(現日ハム)を応援した。巨人は人気があって強いのに、同じ東京に本拠をおく東急は人気薄手で弱かったから。そのころから判官贔屓(ほうがんびいき)の心癖があったのかな。
 東急が好きだからといって、はじめからアンチ巨人だったわけではない。嫌いになったのは、1949年の「別所引き抜き事件」からだ。ライバルのエースを強引に引き抜く、その身勝手さに少年の正義感は激しく反発した。

 その後、このチームの自己中は限りなくエスカレートし、数々の傍迷惑な事件を起こしたり横車を押したりした。それでも、パの各チームは懸命な企業努力を続け、今や実力はすでにセを圧して人気もセに迫っている。

 何が幸いになるか、セ界の覇王が我欲で打った手が裏目に出て、結果パの実力強化を助けているというから面白い。
 例えば、人気のセに有利な逆指名制。今年の交流戦で大活躍したパの投手陣は、ダルビッシュや田中などドラフトで獲得した高卒の逸材を手塩にかけて育てたものだ。それにくらべ、即戦力を売り物に逆指名で大卒や社会人からプロ入りしたセの投手はほとんど見るべき働きをしていない。
 またFAも巨人に都合のいい制度で、金と人気にものを言わせて各チームのスター選手を集めた。が、歩留りは良くない。むしろ、年俸が高い薹(とう)の立った選手を出して、若手の育成に努めたチームの方が強くなっている。

 ならば、セ界の覇王には、世評なぞ気にせず、いつまでもお達者で頑張っていただきたい。ご健勝を祈ろう。

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