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「800字文学館」

私の初夢(老後はバラ色)

都甲 昌利

 いよいよ老人いじめが始まった。年金の減額、後期高齢者制度導入による保険料アップ、年金受給年齢の延長など。少子高齢化が進んで若者に負担を掛けている年金制度も高齢者が目の敵にされている。高齢者ばかりがどんどん増え、年金制度もパンクする。介護保険や医療制度も危機にひんしている。

 政府は信用ならない。どうするか。

 65歳以上の高齢者の金融資産は1500兆円というから、たとえば、一千万人の高齢者が1000万円出資すれば100兆円になる。国家予算が約90兆円だから相当のことが出来る。我々老人が独自の組織、制度を作りこれを運用するのだ。定年退職者には元国家・地方公務員、大企業の部長クラスなどエリート経験者が多くいる。彼らの頭脳や経験をフルに活用するのだ。
 まず、会長を選び運営委員を設置し老人ホームの設置・運営、寝たきり老人の介護、資産の運用投資などすべての業務を我々高齢者の手で行うのだ。出版事業だって可能だ。100兆円目指して大銀行や保険会社が我々にすり寄って来る。そしたら、彼らを傘下に置くのだ。政治家も黙ってはいまい。そしたら、高齢者の利益になるような法律を作らせる。100兆円の資金が動き出し、市場に出回れば景気が劇的に回復して経済が活性化して税収も増え、我が国の財政赤字が改善される。経消費税など上げなくてもよい。どうです、良いことだらけでしょう。野田さん。

 更によいことに(?)高齢者はどんどん亡くなってゆく。しかも、新高齢者は毎年数10万単位で増えるから、採算効率は抜群だ。
 もちろん、この制度の基本は出資した1000万円は三日目に死んだとしても返却はしないという大原則がなければならない。制度に加入するかしないかは各人の自由である。1000万円拠出不可能の老人が居れば子供や孫に少し援助してもらえば良い。若者の世話にならずに、老後が安心して死ぬまで暮らせたとしたら1000万円は安いか高いか。皆さんならどうします?

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