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「800字文学館」

幸福ってなんだろう

野瀬 隆平

「あなたは幸福だと感じていますか」
“very happy”, “rather happy”, “not very happy”, “not happy at all” の四つから選択してください、と問われたらどれを選びますか。

 英国の経済誌『The Economist』に、幸福度の国際比較に関する記事が掲載されていた。ある会社が世界24か国、19,000人を対象に行った幸福度の調査結果を、その国の一人あたりのGDPと対比させて論評を加えている。
 幸福と思っている人の割合が多いトップの3国は、インドネシア、インドそしてメキシコである。所得の低い国の人々の方がかえって、幸福と感じている人が多い。また世界的な金融危機が起こる前よりも、今回の方が幸福と答えた人の割合が増えたのは意外であると同誌はいっている。
 “happiness”という言葉が、それぞれの国でどのように翻訳されて設問が作られたのか。その意味するところ、概念は当然のことながら微妙に違うので、この種の国際比較が難しいのは確かである。しかし、結果がおよその傾向を示していると考えても大きな間違いはなかろう。
 興味深いのは、この記事がオンラインでも流されており、読者が次々と感想や意見を書き込んでいることだ。ネットの普及により、瞬時に世界中の人たちが同じテーマについて意見を交わせようになったことを実感する。
 ある人は、その国の自殺率と比較して、両者の間に高い逆相関関係があると説く。また、ある読者は、高齢者が多く若者の少ない国は幸福と感じる人が少ない、と人口構成から分析する。面白いのは、強いアルコールの酒を多く消費するロシアや韓国の人たちの幸福度が最下位にあるという指摘だ。

大震災の後、日本人の価値観が微妙に変化したと多くの人が感じている。また国民の幸福度(GNH)を最大にすることを目標に掲げる国、ブータンの国王夫妻が来日したこともあり、物質的に満たされるより、どれだけ幸福と感じているかの方が大切だという認識が広まってきたように思う。
さて、この調査の結果について、あなたならどんな意見を書き込みますか。

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