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「800字文学館」

ボランティア活動再開

松谷 隆

 10年前の6月のある日、新聞に「サッカーW杯記念クロアチア写真展」の見出しを見た。首都ザグレブに駐在した身にとっては捨てておけず、展示会場へ直行した。
 24年ぶりに見るクロアチアの風景に懐かしさが募るまま、ボランティア登録用紙にサインした。横浜市のある国際交流ラウンジでの話である。その後、ラウンジの情報部会員として、広報誌の英文化や情報システムの整備などに従事し、2年後には部会のトップになり、ラウンジの運営副委員長に祭り上げられた。
 その時から、ボランティア活動のむなしさを実感し始めた。というのも、活動予算の少なさ、自主性を認めない上に「ボランティアを使ってやっている」という行政の言動に嫌気がさしてきたからである。2年後に辞任し、ボランティア登録も抹消した。
 昨年9月、10年以上付き合っている地域ケアプラザが定員15名の「折り紙ボランティア養成講座」の開催を発表した。10月末から5回の講座で、毎回出席が条件である。現役時代、出張時の機内で、泣いている子供に羽ばたく鶴を折ってあげたら毎回喜ばれたので、今回新技術習得と「4回しか出席できない」と断った上で応募したら、幸いOKとなった。
 ベテラン講師の指導でいろんなものを折った後、11月末に区内の母子お楽しみ教室で折り紙を一緒にし、好評を得た。最終回は社会福祉協議会の「ボランティア活動とは」の話を聞き、前回とは違う活動が期待できそうだと思った。
 個人の動きでは限界があるので、グループの結成を勧められた結果、8名が集まった。最初は、それぞれ遠慮がちで、活動は無理と思えた。が、1月に「活動できるまで、自分がリーダーをする」と乗り出したところ、一挙にまとまり、会則作りや関係各所へのボランティア登録も完了。さらに協議会から「一般および障害者を対象とするグループ」の認定を受け、助成金も支給されることになった。
 4月下旬の本番開始に備え、新しい折り方の勉強が続き、忙しくなる。

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