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「800字文学館」

韓流ドラマに嵌る

中村 晃也

 女房が夢中になっている。私も試しに見てみると、これがなかなか面白い。なによりも女優が美人だ。どこまで整形しているのか不明だが、目が大きく鼻筋が通り、肌がつややかだ。男優も個性的な顔で女心をそそるらしい。どのテレビチャンネルも一日二、三本は必ず韓流ドラマを放映している。

 現代劇の代表はヨン様とチェジュウが出演した「冬のソナタ」だが、私は時代劇のほうが好きだ。見ていると隣国の歴史もおぼろげだがわかってきた。

 部族国家間の抗争を経て、紀元一世紀には高句麗、百済、新羅、の主要三国が鼎立するが(三国時代)七世紀には前二国が滅亡する。唐に破れた高句麗は残党が決起して渤海を建国する。高句麗も渤海も現在の朝鮮半島中心部よりはかなり北の、現在では中国領、ロシア領にまたがる広大な地域を領土とする。
 南方の百済は倭との国交が長く、聖明王の第三子の琳聖太子が六一一年に山口県周防に上陸、吉敷郡大内に土着し、以後大内氏を名乗る。 

 このあと半島を統一した新羅と北の渤海との南北国時代が四百年続き、後三国の混乱時代を経て新羅の豪族から擁立された高麗(建国は平安時代)が約五百年、次いで李氏朝鮮が統一国家(日本の南北朝時代に建国)として五百年続く。
 その間漢、晋、隋、唐、遼、元、明の大陸との絶え間ない抗争、服従、反逆の歴史がありドラマの材料には事欠かない。

 朝鮮王朝時代の朝廷では、皇后や側室がその子を王位につけようと外戚や宦官、重臣を巻き込んでの権謀術数が渦巻く。側室にもランクがあり正一位の嬪(びん)、従一位の貴人(きいん)、以下正五位の尚宮(さんぐん)まで十段階あり、王様の恩寵の深さ、出自により位が決まる。宮廷に入った女官は生涯宮廷で暮らし、王のお手がつかなかった女官の最高職は尚官である。

 一回一時間のドラマが毎日連続で放映されるので、二本も見続けると時間をとられて毎日が忙しい。八百字文学館によい文章を書けない所以である。

二十四年 七月

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