大人の常識「PSA」
PSAといえば大概の中高年男性にはお馴染みの用語である。が、一口にPSAといってもジャンルが違えば意味も異なる。貴方の知っているのはどれ?
(一)経済用語
フランスの自動車メーカーの略称。名車プジョーとシトロエンを擁して一時は一世を風靡したが、近年はドイツ車や日米のメーカーに押され経営難となり、二○一四年二月、中国東風汽車公司と提携した。Peugeot Societe Anonume
(二)運動用語
ゴルフのスコアメイクに重要な役割を演ずるクラブがある。ヘッドの底が丸みを帯び、打ち込んだ際にヘッドが地面にめり込まず、打球面が上方を向いているので打球が飛ばない。その形状が楔に似ているのでウェッジと呼ばれ、機能別に数種類のウエッジがある。
グリーンから数十ヤード離れた地点からボールを高く上げてピン近くで止めるのはピッチングウエッジ。
バンカーに入ったボールを土手にぶつからないように高く打ちあげ、グリーンでピタっと止めるのがサンドウエッジ。
十数ヤードの距離からピンにボールを寄せる道具をアプローチウエッジという。これらウエッジの頭文字を拾うとPSAになる。
Piching,Sand,Aproaching Wedge
(三)医学用語
男性がいつかは必ず悩まされる、前立腺の腫瘍マーカーとして話題にするのが、血液中のPSAの値である。Prostate Specific Antigen
通常PSA値が四・〇以下の場合は異常なし、四~十はグレイゾーン。十以上では癌の精密検査が必要になる。ただPSA値は前立腺癌の特異抗原ではなく前立腺炎でも肥大症でも上昇する。
筆者は両親を癌で亡くした癌体質なので、大口の癌保険に加入している。 この保険は契約上、癌と診断されたら即百万円もらえることになっている。
先日もPSA値が九・八になったので、百万円を当てにして癌の精密検査を受けた。
肛門から太いプローブを差し込まれ、合計八本の針を刺されて、生体サンプルを採取されが、この恥辱と苦痛の検査結果はマイナスであった。
癌でないと診断されて残念がっているのは、私だけかもしれない。(完)