闘え!小保方
今話題の小保方論文は生命科学の研究で、対象は生体であり、物理・化学系の科学が無生物である点で大きく異なる。しかし、科学を広く捉えると基本は同じだ。自然科学と縁の深い技術者として、今回の騒動に関して、小保方さん、闘えと応援したい。
新分野の開拓は発見であり、発明から始まる。科学では発見であり、発見に至る理論の構築は次の段階である。発見は厳しい研究の研鑽の積み重ねで養われた研ぎ澄まされた観察眼で、一瞬の閃きも逃さず研究対象を観察することによって獲得できる成果である。人間の優れた能力として、二物を比較したとき、能力のある人はその両者の間にある僅かな差分でも有意差を検出できる。小保方さんはこの識別能力によってSTAP細胞と思えるものを検出したと発表した。
その成果を表す論文の記述内容に一部正確性を欠くとか、第三者が事実を追跡できないなど非難を浴びている。一般に国内の研究者は欧米の完全性を満たした確立した論文を原典として、国内に次の段階の研究を展開する場合が多い。このようなお家事情のなかで、完全性が満たされてないと物議を醸している。しかし、新発見が事実であるなら、その価値は揺らぐものではない。説明する方法論は不足を補ったり、部分修正したりすれば良い。残念ながら誤認であったら、その事実を公開し次の研究の糧にすればよい。
現代の科学技術は西欧文明に起源がある。何ごとも競い合い、優れたものが残る文明である。生き残る競い合いは闘いでもある。一流誌への論文の公式採用には、審査委員の審査通過が条件になる。もし、委員から受付拒否の通知を受けた場合、著者は不服申し立て、争える権利があると規定されている。論文の成否も闘いの一種だ。今回、論文誌の審査は通過した。しかし、国内の関連部門で横やりが入った。しかし、「STAP細胞は存在します」と公言したからには、発見は事実との検証が得られるように、闘え!小保方と言いたい。
(二〇一四・四・二四)