「アン」と似ている「花子」
NHKの朝の連続テレビ小説、「花子とアン」の視聴率が高いという。
児童文学者である村岡花子を描いたドラマである。アンは、その代表的な翻訳作品『赤毛のアン』の主人公を指すのは言うまでも無かろう。カナダの自然豊かなプリンスエドワード島を舞台にしたルーシー・モントゴメリーの小説は、世界中の特に女の子に読み継がれている。
このドラマを見ていて、あることに興味を抱いた。物語に出てくるアンと実在した花子、その二人の関連性だ。ともに貧しい生い立ちである点や、いちずに思い込む性格からしばしば問題を引き起こすトラブルメーカーだったと言う共通点は、よくある話で特に指摘する程のことでは無い。
しかし、次のようなエピソードには、単に偶然とはいえない不思議な類似性を感じざるを得ない。
一つは、自分の名前の呼ばれ方に異常にこだわりを持っていること。花子の本名は「はな」であるが、東京の女学校に入った時に、あえて「花子(はなこ)」と呼ばせようと、執拗に主張している。一方のアンも、孤児院から貰われてきたとき、AnnではなくAnneとeをつけて、少しでも上品に見える名前で呼ばれたいと強く願った。
もう一つは、お互いに腹心の友と呼ばれる友人との間で、ブドウ酒を別の飲み物と誤って、相手を酔わせてしまうという問題を引き起こしている点だ。花子の場合は飲まされる方で、アンは逆に相手を酔わせてしまったと言う違いはあるものの、あまりにも似ているので驚かされる。
アンの物語に書かれているのと同じようなことが、実際に花子の身にも起こっていたのだろうか。
「花子とアン」は、花子の孫である村岡恵理の『アンのゆりかご―村岡花子の生涯』が原作で、これをもとに脚色されたドラマである。見せどころの一つとして、二人の類似点をあえて強調しているのだろうか。
まだ見落としていた所が、他にあるかも知れない。ドラマは続いている。花子とアンの関連性に注目しながら見ていきたい。