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「800字文学館」

三方みなよし

川村 邦生

 近江商人の成功の秘訣は、「三方みなよし」と言われ守られてきた。
 売り手よし・買い手よし・世間よし、これが商売理念と伝えられている。
 近年、団塊の世代が高齢者入りし加えて医療の世話になる人も増加してきた。国家負担の医療費増が財政悪化につながっている。

 退職後健康維持の為スポーツジムに通うことにした。週に2回、行くたびに驚くことは、高齢者の多いことだ。皆さんも同じ事情から始めたのだと確信した。健康維持の為に間違いない。
 新聞記事に、スポーツなど健康の為への支出が多い年代層は、圧倒的に60歳以上と書かれていた。又貯蓄額が多いのも高齢者と言われている。経済活性化の為高齢者に貯蓄金を使わせお金を回す事が有効と分かっている。事業者は高齢者向けに施設、サービスを充実させ、自分から進んで行きたいとさせる。勿論適正な利潤を得られる運営が必要だ。
 高齢者への対策を取らずにいると、医療費の負担が増加することになる。体を動かす場所と機会を作ればよい。それを民間会社にやらせ適正利潤を得てもらう。このスキームが巧く廻れば、高齢者は体を動かし心身ともに健康を維持出来る。設備とサービス提供業者は、適正利潤を得て、地域活性化、雇用増加にもつながる。健康維持が可能となれば医療費支給対象者が減少し財政好転につながる。三方すなわち、高齢者、民間業者、国や自治体、みなよしとなる。

 既に「三方みなよし」が実施されている事実があった。徳島県での「つまもの」ビジネスだ。高齢者が山へ入り、イチョウ、紅葉などの葉っぱを採ってくる。PCで相場を見ながら採った葉を市場に送り高収入を得、健康促進が小遣稼ぎになっている。料理屋は新鮮な純国産品として料理に使う。色彩豊かな「つまもの」を見て更にお客様も喜ぶ。これで「三方みなよし」だ。町が活性化し、高齢者への医療費も減り地方財政が好転した。自治体も含め四方みなよしだ。家族も喜び近江商法を大いに上回っている。

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