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「800字文学館」

女性はもう輝いている

濱田 優(ゆたか)

 この年末に私が通っているスポーツクラブがリニューアルする。
 9年前に開店して以来の大改装で、ロッカーの総入れ替えや各スペースのレイアウト変更、改装とともに、女性化粧室と女性シャワーブースを拡張するという。もともと女性会員が多い上に最近さらに増えたからだろう。

 卒サラの少し前、メタボを解消しようとスポーツクラブに通いはじめた。ところが、一人黙々とランニングマシンで走ったり、フィットネスバイクを漕いだりするのは苦手ですぐ飽きた。
 エアロビはインストラクターの指導に従い、大勢の仲間と一緒に音楽に合わせて運動していて楽しそう。だが、そのスタジオは女護島状態で入り難い。入口でためらっていると魅惑的な先生が優しく誘ってくれた。それが切っ掛けで挫折することなく今もエアロビを続けている。

 その後の私の経験では、カルチャーセンターも同じく女性優位、海外ツアーも夫婦連れを除いて女性が断然多い。買い物はもともと女性客が多く、男子トイレの少なくて不便なショッピングセンターが多いが、最近さらに男子トイレを削減して女子トイレへの改装を進めているところがある。

 会社や役所、そして政治の男社会の中にいる人は実感することが少ないかもしれないが、世の中の多くの分野には女性の進出が目覚ましく、世界的な大会やコンクールで実績を挙げ、存在感を高めている。安倍首相にいわれるまでもなく日本の女性はもう輝いているのだ。首相には遅れている永田町や霞が関の改革をしっかりと進めてもらいたい。

 ところで、我がスポーツクラブの話に戻ると、更衣室と風呂場は同じフロアーを銭湯のように仕切って男女に分けている。ここで女性のスペースを拡張するということは、必然的に……。
「いや、その先は言うまいぞ」
 もう一人の私がブレーキを掛けた。
 ただでさえ最近のダンス系の動きに付いていけず、
「あまり無理をなさらない方が……」
と、いわれかねない我が身なれば。

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