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「800字文学館」

お節介のお勧め

川村 邦生

 最近男女の縁を取り結んだ。
 ゴルフ仲間のMさんからの話がきっかけだ。私達の若い頃より男女共に出会いの場が減ってしまった。結婚年齢がどんどん高齢化している理由の一つに、出会う機会が減ったことがある。何とか機会を作ってあげたいとMさんは言う。
 長男次男とも自分達で伴侶を見つけてきたので、その問題をあまり気にしていなかった。ある日Mさんから「お嫁さん候補を探してる方がいるが、どなたかお知り合いはおられませんか」と訊かれた。
 家内が聞きつけ「知人のお嬢さん、Yちゃんはどうかしら」となった。私達がお節介仲人になった始まりだ。
 お互い写真と釣書を交換した後お見合いさせ、その後順調に交際が続いている。うまくいくと良いねと両方の仲人は願っている。

 このケースでも、男性は自営業、一方女性の勤務先は同性と年配男性ばかりだ。お互い普段異性との出会いが少ない。
 結婚相談所があり市場もある、しかしなかなか進まない。理由は、ビジネスモデルにならないからだ。表面だけの情報では成約しにくい。肝心な内容は、個人情報の縛りがあるから明かされない。そこでお節介仲人の出番だ。
 本人は勿論、家庭事情を知る仲人は、両者の釣合を考える。一度会ってみたいと言うのもよし、書類だけで断ることも容易だ。仲人は手駒を沢山持つのが良い。成約率が上がるからだ。

 半世紀程前までは、お見合いが圧倒的に多かった。しかし今では恋愛が逆転している。恋愛環境に恵まれていればいいが、それが難しいから縁遠くなる人が増加している。
 お見合いというと、両親が勝手に進め本人の意思を聞かないと考えがちだ。今のお見合いは昔とは全く異なる。一度仲人を交えて顔合わせした後は本人達で進めていけばよいのだ。出会いをつくるのが役割だ。
 結婚しない男女が増加している。機会が無いと言う事情なら、それを改善する為、仲人をもっと利用してはどうか。少子化が進む日本を危惧しているならば、皆で少しお節介をしよう。

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