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「800字文学館」

娘たちからの贈り物

濱田 優(ゆたか)

 毎年、長女有加から五月の「母の日」にはカーネーション、六月の「父の日」にミニバラが送られてくる。
 如何にも律儀な娘らしい恒例にして定番の贈物で、家内は孫娘のピアノ発表会の予定と合わせてカレンダーに書き込んで楽しみにしている。

 その点、次女美奈の贈物は不定期で都度異なる物だがサプライズがある。彼女は女の子の下に双子の男児を抱える三人の子持ちで忙しく、買う物も多いことから、出来るだけボーナスの時にまとめて買うことにしている。母の日、父の日の贈物もそのとき一緒に買うので日にちは定まらない。
 衣料品販売のチェーン店に勤めた経験によるのか、美奈は衣服に関心深く、最近のトレンドに詳しい。だから適当に任せるとよろこんでお薦め品を探してくる。昨年は合着のシャツに、昨今流行の「おしゃれステテコ」を買ってくれた。
 渋い和柄の楊柳縮でポケットも付いており、とてもステテコには見えない。「部屋着にいいね」とよろこぶと、「ワンマイルウェアとしても着られるよ」と娘はいう。
 夕食が済むとすぐパジャマに着替える家内には、お洒落な部屋着兼用パジャマをプレゼントしてくれた。
 何かと気の付く娘である。お盆休みに一家でうちに来るとき、中1になる女の子の前を下着のステテコ姿のお爺ちゃんや寝間着のお婆ちゃんがウロチョロしないように、という狙いで買ってくれたのかもしれない。

 また、美奈はヤフーのオークションで競買いをしており、ときにサイズが合わなくなった子供服を競売に掛けたりしている。自分では着ない家内の古いブランド品の服をオークションに出したところ、年配の人が予想より高値で買ってくれたそうだ。
 子育ての手が空いたら、わが家の終活処分品の一部でもオークションで売って再活用してもらうとともに、幾ばくかのお小遣いがもらえれば最高のプレゼント、と虫のいいことを考えているのだが。

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