作品の閲覧

「800字文学館」

ペンクラブあれこれ

平尾 富男

 国際ペンクラブは1921年にロンドンで生まれ、初代会長ゴールズワージやロマン・ロランなど、当時の文壇の綺羅星が初代メンバーに連なっていた。
 日本ペンクラブの創設は、約80年前の1935年で、初代会長は島崎藤村である。現在の日本ペンは、2011年に阿刀田高と交替した第16代浅田次郎会長の下に、2,000人近い文筆家の会員が集まっている。副会長には下重暁子、中西進が名を連ねている。当初から、文学の国際交流と執筆の自由を標榜する国際ペンクラブの傘下にある。
 ペンクラブのPENとは、「筆(ペン)は強し」のペンにあらず、Poet‐Editor‐Novelistの集まりの意味である。日本ペンクラブの目的は、言論、表現、出版の自由の擁護と文化の国際的交流の増進ということが定款に謳われているのに対し、同じ文筆家の団体である日本文藝家協会は文筆家の職能擁護を目的としている。

 さて、1989年創設の我が「企業OBペンクラブ」は、畏れ多くもその名称に「ペンクラブ」を掲げてはいるものの、文筆業を生業としている会員からなる団体ではない。現在の会の趣旨に曰く「男女を問わず、主に『書く』ことに興味を持つ方々に参加を呼び掛け、自前のホームページを充実させつつ活動の場を広げている組織」なのである。
 メンバーは、現役生活を卒業した、或いはしつつある人々を中心として「書く」ことを通して仲間意識を深め楽しんでいる。尤も、最近は懇親の度が過ぎて、喋ること、飲むことを大いに楽しんでいるキライがない訳ではないが、これはこれで宜しいのではなかろうか……。
 そうは言っても、創設以来4半世紀、会員の現役時代の経験をベースにハウツー本20冊の出版を経験し、2006~12年には川柳の分科会を中心に、「何でも書こう会」「掌編小説勉強会」の両分科会の協力を得て、『卒サラ川柳』を冠する文芸本のシリーズを三冊出版している。
 恥をかくことを恐れずに、書いて他人様に読んで貰いたいと考える連中であるから、そろそろ4冊目の出版を考える時期であると頭を抱えている。

作品の一覧へ戻る

作品の閲覧