「倶会一処」
墓石には、「倶会一処」と刻むことにしました。
○○家之墓や、南無阿弥陀仏などその宗派の唱える題目を、墓石に刻むことが多いのですが、近ごろでは、別の言葉を彫ることも増えているようです。表に「色即是空」、裏に「空即是色」と彫られた墓石を見たこともあります。
そろそろ自分のお墓をどうしようか考えていたおり、親戚の墓で守る人が絶えたお墓があるので、それを引き継いではという話になりました。自分とは違う名字の家です。再建する墓石には、両家に通じる文字を刻まなければなりません。住職のお勧めもあり、選んだのが「倶会一処」です。
「倶」と言う字、日頃あまり目にしません。倶楽部あるいは倶知安の他には思い浮かびません。そこで、倶会一処について少し調べてみました。正に付け焼刃です。
『仏説阿弥陀経』が出典であることが分かりました。浄土真宗の教義を最もよく表している経典ですね。極楽浄土は花が乱れ咲き、鳥が舞い飛ぶ麗しいところであり、そこには阿羅漢や菩薩などの立派な方々が居られることを語ったあとに、
「願生彼国 所以者何 得与如是 諸上善人 倶会一処」とあります。
彼の国(浄土)に生まれることを願うべきである。なぜならば、この様に立派な方々に会うことが叶うからである、と説かれています。
経典では、立派な阿羅漢や菩薩に会えるところとなっていますが、先に彼の国に行って仏となっているご先祖様にも会える、と考えてよいのでしょう。
さて、どうすれば、そこに行けるのでしょうか。お経の続きには、
「不可以少善根 福徳因縁 得生彼国」と書かれています。
少しばかりの徳を積んだからといて簡単に行けるわけではない、と釘を刺されています。凡人にはやはり無理なのか……、と少々がっかり。
しかし、さらに読み続けますと、一心不乱に何日も、何日も念仏を唱え続ければ、阿弥陀様がそこに連れて行って下さいますとある。善行とは程遠い毎日を送っている私も、救われそうです。
注 経典の読み方
ガンショウヒコク ショイシャガ トクヨニョゼ ショジョウゼンニン
クエイッショフカイショゼンゴン フクトクインネン トクショウヒコク