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「800字文学館」

軍事利用可か、宇宙開発利用か

稲宮 健一

 二月七日、北朝鮮が衛星打ち上げだとしてロケットを打ち上げた。宇宙軌道に物体が突入したと報じられている。
 衛星は国連の組織である国際電気通信連合(ITU)に事前登録し、他国との干渉を避ける協議が取決められている。勿論、北朝鮮もITUに加入している。

 衛星は軌道に投入の後、管制局と電波で交信し制御しなければ、石ころと同じだ。電波は世界共通の資産であるので、使用目的、周波数、信号の形態が世界の地域毎に細かく決まっている。これを破ると、既存の地球側の通信と混信する大混乱が発生する。無秩序な電波利用を避けるため、衛星計画を世界中に公開して、使用電波が他に妨害を与えない了承を世界中から取る義務がある。

 ロケットは沖縄県上空を通過した。日本のロケット、いや世界中の宇宙開開発ロケットは他国の上空を通過することはない。日本が南に向けて打つ場合、フィリピン、ニュジーランド、オーストラリア上空を避けて、公海上を通過する軌道設計になっている。打ち上げた直後から、管制局は弾道飛行中のロケットをレーダーで追跡して、IIP(瞬時落下予測地点)を監視して、他国の領土に落下する可能性がある場合、即時にロケットを自爆させ、決して、他国内に破片が落下しないよう管制している。ロケットを自爆させるのは簡単で、ロケットに組み込まれた火薬でエンジンに穴をあければ、ロケットは石ころ同然、公海上のIIPの示したところに粉々になって落下する。

 日本の静止衛星が最終軌道に入る寸前に、IIPが南米大陸に差しかかる。決して南米大陸に落下させないため、万が一の時、西太平洋のクリスマス島の管制局から、破壊指令を送信し、自爆させる。種子島の射点で何回か、自爆させたが、幸いクリスマス島から破壊指令を送ったことはない。

 これだけ地球規模の整備をして、初めて普通の宇宙開発ができる。秘かに上げる軍事衛星でも、民間への迷惑を避けるように最大限努力するのが普通の国だ。

(二〇一六・二・二五)

ITU: International Telecommunication Union
IIP: Instantaneous Impact Point

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