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「800字文学館」

『くらべる東西』

清水 勝

 今、話題になっている写真集『くらべる東西』を購入した。狭い日本でありながらも東と西の違いを写真で著した本である。
 関西に生まれ育ち、大学までと転勤で都合27年間、関西に住んだ。一方、関東には就職して以来43年間も住んでいるが、未だに話していると「関西の人ですね」といわれる。三つ子の魂百までということなのだろう。
 それだけに東西の違いには興味が湧き、本書並びにネット情報『関東関西おもしろ百科事典』を見てみた。
 それらには、だれもが知っている「エスカレーターの乗り方」の違いや、味付けが「濃い口」と「うす口」、それに絡む「鰹だし」と「昆布だし」の違いが掲載されている。あまり知られていない「祝儀袋」(朱線の位置)と「香典袋」(水引の色)の違い、いなり寿司の形状「俵型」と「三角型」。それに雛人形のお殿様とお姫様の並べ方、関東のお殿様は「向かって左」であるのに対し、京都は「向かって右」。タクシーの車体の色は「カラフル」と「黒一色」、有料駐車場の呼び方「パーキング」と「モータープール」等々が、本には34種、ネットには42種が写真付きで比較されている。
 他にもあるぞと、暇にあかせて調べてみた。まずは周波数の違い、「50ヘルツ」と「60ヘルツ」。言葉のニュアンスでは「ばか」と「アホ」、それに「太った」と「肥えた」の感じ方の違い。
 同じものでも「肉まん」と「豚まん」、「おでん」と「関東煮」、皮膚病の「ササクレ」と「サカムケ」、大学では「二年生」と「二回生」と呼び方が違っている。
 習慣の違いか、食パンは「6~8枚の薄切り」と「4~6枚の厚切り」、肉じゃがの材料は「豚肉」と「牛肉」の違い。灯油用のポリの色は「赤」と「青」と違っている。
 面白いのは指紋の違い。「蹄状紋」が多い東に対し、西は「渦状紋」が多いという。指を見れば先祖の出身地が判るかも…。

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