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「800字文学館」

選挙を左右する縄文・弥生の遺伝子

池田 隆

 参議院選挙のTV速報画面に、選挙区毎の勝敗を色分けした日本地図が表示された。与党が勝った区は赤、野党が勝った区は青である。甲信越、東北地方、北海道、沖縄が秋田を除き青色、対して関東から九州までは赤一色に染まり、青色は三重と大分のみである。
 これを見て思う、もし7~8世紀に国政選挙を行っていたならば、同様な結果になったのではと。
 紀元前の頃より大陸から日本列島に農耕民族が渡来し、狩猟採集を営む先住の縄文人と同化・共存し、徐々に弥生文化を形成したという。3~6世紀には渡来人の系統から大和政権が誕生し、武力と稲作を駆使して国家体制を拡充していく。
 その支配に抗う縄文系の先住民は東へ北へと追い詰められ、あるいは琉球に取り残された。奇しくも、その範囲は今回の選挙結果における青色の地域と一致するが、単なる偶然だろうか。
 安倍政権の後ろ楯である日本会議は大和朝廷由縁の神道や天皇制と深い関りをもつ。与党の無謀な経済拡大路線は森林破壊と表裏を成す大和政権の強引な稲作推進を彷彿させる。同じく自衛隊海外派遣は東国から九州の果てに派遣された防人を、TTPやグローバル化は古代朝鮮との活発な交流を、マイナンバー制度は租庸調のための庚午年籍を連想させる。与党にくみする公明党も国家鎮護目的の奈良仏教と一脈通じる。
 一方の野党側は国家が個人を縛り、海外派遣を許す憲法改定に強く反対する。その姿勢は公地公民や防人徴兵の制度に反発した縄文系の先住民と共通する。彼らは階層や搾取がなく、移住の自由な平等社会、いわゆる原始共産社会への執着を捨てきれずにいた筈だ。今回は共産党が野党連合に加わったのも因縁深い。また野党支持者のなかには経済至上主義から循環型の自然環境維持へ、基本政策の転換を望む者も多い。
 縄文人と弥生人の混血比率に地域差が未だ有ることを今回の選挙は示唆している。相手の行き過ぎにセーブをかけ合う、この二種類の遺伝子の両方を日本人は大切にしよう。

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