作品の閲覧

「800字文学館」

ひざが鳴く…変形性ひざ関節症

大月 和彦

 3年ぐらい前から足腰が急に衰え、最近ではひざに違和感を覚えるようになった。立ち上がる時に痛んだり、階段を上る時キュッキュッと音が出たり、足を引きずるようになるなど日常の動作が不便になった。
 昨年末、近くの整形外科医院に行くと変形性ひざ関節症と診断された。
 ひざのクッション材である関節軟骨が摩耗し、関節を支える筋肉が少なくなっているからだという。

 ひざや腰の筋肉は適当な運動をすればある程度増えると言われ、通院してリハビリ体操やマッサージを続けた。効果のほどが判らないまま3か月で打ち切られた。

「ひざの痛みの八六%は体操で改善する」と謳った整形外科医の『痛みナビ体操』を買ってみた。
 座ると痛い、立つと痛い、ひざがきしむなどの症状に対応した体操が紹介されている。自宅で1回1分程度の体操を1日数回行えば痛みが消えると書いてある。
 一分間の体操なら簡単と思ったが毎日続けるのは意外に難しい。中断しながらも続けているが、終わった直後はすっきりするものの長く続かない。やらないよりましだろうと実施している。

 気をつけてみると、ひざ痛の治療や予防の情報がTV、新聞、雑誌などに氾濫しているのに驚く。「筋肉量60歳代から激減し…、でも大丈夫、筋肉は四八日で半分生まれ変わる」、「1日分のストレッチで痛みがなくなる」など。グルコサミン、コンドロイチン、サメの軟骨成分などの言葉も踊っていて、ひざ痛に悩む人につけ込んでくる。

 最近見たTVの番組によると、ひざ痛の大きな原因は加齢に伴うものと過体重であり、減量がひざ痛に最も効果があるという。
 明快な指摘で、目からうろこが落ちる思い。
 衰えた筋肉を簡単な体操やサプリメントで再生するというのは嘘とは言わないが誇大広告ではないか。

 最近腹部の突出が目立つようになった。肝心の筋肉が減っているのに、脂肪分が増えているのだ。
 腹部の脂肪分を減らす一方、関節部に筋肉を増やすという曲芸のようなダイエットにせまられている。

作品の一覧へ戻る

作品の閲覧