日本最西端の島
今年6月与那国島(よなぐにじま)を訪れた。日本最西端の地に立ってみたかったからである。東京からの直線距離は2,000㎞を超え、石垣島からも124㎞、台湾までは111㎞で、寧ろ台湾に近い。石垣島からは30分の快適な飛行である。与那国馬や日本一巨大な蛾であるヨナグニサン(アヤミハビル)など珍しい動植物を見ることもできる。
人口は2010年頃から約1,600人で推移してきたが、かつては人口増に悩み、一時は2万人に達したこともあるらしい。小さな島では多くの人を養えない。大きな岩の割れ目を妊婦に飛び越えさせ、飛び越えた妊婦だけが生き残るという悲しい伝説が残る久部良割(くぶらばり)というところもある。
日本最西端は西崎(いりざき)で「日本国最西端之地」碑がある。良く晴れた日には、ここから台湾も見えるという。近くのナーマ浜に行った。ここで3万年前に人類はどのようにして大陸から日本列島に辿り着いたのかを実証する葦船プロジェクトが進んでいると聞いたからである。その後葦船は航海に挑んだが、黒潮に流され、今回の試みはあえなく挫折した。古代人の謎はまだ解けない。
与那国島にはテレビドラマ「ドクター・コトー診療所」のロケ地があり、ドラマでは「志木那島診療所」として出てくる。ちょっと入ってみると、吉岡秀隆演じる「Dr.コトー」がすぐそこに現れそうに感じた。診療所の壁に2006年から放送されたドラマ第2期のポスターが貼ってあった。最近終わったNHK大河ドラマ「真田丸」で「真田信繁」役で人気を博した堺雅人だが、俳優の名前では13番目だった。10年前にはこれくらいの扱いだったようだ。
今年3月南西諸島の警戒・監視を主任務とする陸上自衛隊沿岸監視隊が配備され、今は家族を含めて250人の自衛隊員が常駐している。島の生活に溶け込もうと懸命の努力をしていると聞いた。
東シナ海に浮かぶ日本最西端の島で、歴史の変遷と現在の国際環境を身近に感じた実り多い旅だった。