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「800字文学館」

沖縄(4) 地政学的位置 その2

志村 良知

 沖縄返還45年である。45年前、沖縄は戦争継続中のベトナムと、台湾・朝鮮半島を睨む「極東のキーストーン」として重要だった。そして現在、北朝鮮問題で朝鮮半島への出撃基地として、また北朝鮮ミサイルの標的だとして米軍基地がクローズアップされている。
 しかし、朝鮮半島の危機がどうであっても、中国の沖縄占有への野望は変わってはいない。

 建国以来一度も普通選挙を行っていない独裁国中国は巨大な矛盾を抱えている、公共投資頼みの経済,急速に減る労働人口、AA諸国の追い上げによる世界の工場からの転落、チベット・ウィグル問題、言論の自由・貧富の格差への不満等々。これらを破綻に至る前に解決しようとするのが、現在の経済力と軍事力を使っての中華帝国の再興である。しかし完遂するには資金と技術が足りない、国際信用も不足している。
 西太平洋を我が物とすれば、日本のシーレーンを制して属国にし、AIIBはADBを吸収し、日本の資金と技術を自由に使い捨てにできる。アメリカとも完全に対等になれる。

 その第一歩が、沖縄の獲得である。それには小競り合いを仕掛け、国連敗戦国条項を口実に、国連安保理とは無関係に単独での全面懲罰攻撃という戦略を取るであろう。
 その為には沖縄に米軍基地があってはならない。米軍基地は、撃ったらアメリカと全面戦争になる禁断の標的だからである。NHK沖縄によると「基地反対運動に対し、沖縄から米軍基地がなくなって喜ぶのは中国だけ、と批判するのは誹謗中傷」だそうであるが、中国が喜ぶのは事実である。中国は朝貢国時代に遡って沖縄の主権を主張し、日本は好戦的で残虐な国であるというプロパガンダを執拗に繰り返して日本の国際的信用を貶めている。

 一帯一路は西に向いているが、空母機動部隊の増設に象徴される軍事力増強は、沖縄やフィリピンを越えて太平洋、すなわち東に向いている。空母は長距離進攻のための兵器で、自国防衛のための兵器ではない。

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