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「800字文学館」

思いがけない体験

松谷 隆

 7月に入り、夏日、真夏日が続き、熱中症での救急搬送の増加や予防の重要性が報じられている。
 40年来の持病、痛風患者の私はいつも以上に水分補給を続けた。でないと、強烈な発作に襲われる可能性が大である。特に7日から5日連続で、太極拳の稽古指導があるので休めない。
 だが、当日朝ウォーキング中に右足親指付近に異状を感じた。帰宅後、足を見ると親指付根が真っ赤に腫れている。2種類の常備薬の内、痛み止めが空。残りだけを飲んでも、時間とともに痛みが増してくる。掛かりつけ医の待ち時間を聴くと、14、5人待ちの最低70分という。
 それでは午後2時の稽古に間に合わない。薬局へ行き、薬剤師に薬手帳を見せ、「この痛み止めを」と告げると、「同名の胃薬入りが処方箋なしで買える。処方と同量の2粒ずつの服用を」と言われた。おかげで、処方箋代が節約できたし、午後の稽古もでき、万事解決と思った。

 しかし、稽古4日目の月曜日朝、別の異変が発生した。
 約1時間のウォーキング、シャワーそして朝食の後、約1時間インターネット操作を終え立ち上がったら、足元が覚束ない。朝からの水分は野菜ジュースとホットコーヒ1杯ずつだけ。慌てて水を飲んでも効目なし。その内に猛烈な吐き気が続いた。だが嘔吐できない。だんだん胸が苦しくなる。しばらくしてやっと嘔吐。
 妻に「熱中症かもしれない」と告げると、素早く冷蔵庫から、冷えたペットボトル5本を取り出し、首の両側、両脇、そして丹田を冷やせという。スポーツドリンクと塩あめを摂る。
 効果てきめんで、胸の苦しさはなくなった。だが、椅子にすわることもできず、寝ころんだまま。その日の稽古は妻に依頼。午後7時前にやっと起き上がれ、軽食を摂ることができた。
 その後、ネットで「熱中症」を検索して、4タイプのうちの「熱疲労」に該当と知った。そして妻が適切な処置をしてくれたことも確認できた。
 昨日の稽古も無事終了、彼女に感謝、感謝である。

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