異郷の世界
一党独裁、何が何でも政権に従え。隣国は異郷の世界だ。多くの王朝が易姓革命と称して、前王朝を根底からひっくり返す興亡を繰り返してきた隣国は我々とは全く異なるメンタリティーを持っている。
何清漣夫妻著、中国が崩壊しない謎を解説した本が今年出版された。何は一九五九年、湖南省邵陽*市生まれ、上海復旦大学修士、〇一年米国に渡り、以来現代中国を厳しく批判している。この本の主張は中国が崩壊寸前と言われながら、そうならない理不尽なカラクリを述べている。現政権を批判できないので、多くの矛盾は辻褄合わせで覆われ見えない。何は過去の王朝の崩壊はいくつかの危機が折り重なった時起きるという。危機は統治内部の危機、財政破綻、社会の底辺層の叛乱、外敵の侵入で、これらが重なったとき、間違いなく滅亡する。このトラウマから逃げるため、強制的な内部統制が取られている。この社会は我々から見ると受け入れ難いが、それは内政の問題だ。しかし、現代社会は経済が深く外国と結びつている点で他人事では済まされない。
現下、経済で国富を増やす一番の源泉は不動産であると指摘し、広大な国土を宅地化して、鬼城と言われても建て続け、鉄とコンクリートの塊の増産が国内の大きな金の流れを作っている。我々の目からみると、バブルであるが、これをバブルと感知するセンサが社会にない。政権に近い富裕層が複数の住宅を所有して、見かけ上は正常に資金が流れているように装える。汚染した空気を振りまいても厚顔無恥な産業政策の社会である。しかし、バブルはいつか崩壊するが、ソフトランディングであってほしい。
何の指摘ではないが、過去の遺産に足を引かれない新分野の開拓が軟着陸に役立つ。例えば、電気通信の次世代の世界規格の取得は中国の経済振興に向いている。世界規格は頭脳の勝負で、産業への寄与が大きい。勿論日本も世界のリーダであるが、図太くて、声が大きく、優れた脳の分野は中国にも向いている。
*邵陽(しょうよう)