釈宗演遠諱百年展
「釈宗演
釈宗演は26歳で円覚寺
釈宗演は、1893年シカゴで開催された万国宗教会議に出席し、欧米人に禅を初めて講じた。廃仏毀釈の嵐の中で、近代と向き合いグローバルに活躍した姿には並々ならぬ決意が感じられる。禅はその後シカゴに同行していた鈴木大拙等によって、様々な著作が英語で出版され、「ZEN」に対する知識と理解は世界に広まっていった。
特別展を一つ一つ丁寧に覗き込んでいたら、同じペースで展示を熱心に見ている若そうなお坊さんがいた。「随分熱心だな。円覚寺で修行するお坊さんかな?」と感心していた。 展示品の中には夏目漱石の「門」の原稿もあった。夏目漱石は釈宗演のもとに通い禅の修行に勤しみ、この体験を「門」に書いた。
横田南嶺師の講演をしっかり聞こうと前列に座った。横田師が円覚寺派管長とは知っていたが、まだ見たことはなかった。ただ漠然と円覚寺の管長だから、60歳か70歳くらいのお坊さんだろうと勝手に想像していた。ところが講演に立ったのは、先ほど熱心に展示を見ていた若いお坊さんだった。横田南嶺師は現在53歳、円覚寺派管長に就任したのは45歳だったというのは後で知った。つやつやとした肌の輝きから、40歳台半ばにしか見えなかった。
師は笑顔で釈宗演を称えながら、現代の禅について優しく語った。
鎌倉時代創建の円覚寺では昔も今も若き禅僧が躍動している。