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「800字文学館」

寄席で暑さを ふっ飛ばそう!

清水 勝

 暑い、暑い…。
 そんな中で出掛けたのが『浅草演芸ホール』。11時から16時30分まで、3千円で大いに笑え、暑さも忘れてしまう。
 八月上席 昼の部は『にゅうおいらんず特別興行』で大賑わい。立見も出ての超満員だった。
 口明けに登場したのがロックバンド『浅草ジンタ』。朝早くから整理券を求めた人の眠気を覚ます狙いか。賑やかに始まる。
 噺家は最初だけが二ツ目、あと九人は真打。
「待ってました!」
 中入りに15分ほど休憩があるだけで、前後2時間半は通して演じられる。気分転換にと太神楽、漫談、紙切り、漫才、マジックが落語の間に入ってくる。とにかく笑っている間にドンドン進んでいく。
 太神楽の鏡味 味千代さんは美人だ。ICU出身だと後で知る。五階茶碗にハラハラドキドキ。お馴染み縁起物の傘回しには、何事も丸く治まる鞠、金回りがよくなる金輪、益々の繁栄の枡が回される。
 噺家さんはそれぞれの個性が出ており、テレビで見るのとは一味違う。とりわけ「まくら」といわれる導入部から「本題」の会話の部分へのつなげ方と、最後に「おち」「さげ」で、なるほどと納得させる話術には、笑いながらも感心してしまう。
 最前列の客を絡ませて人を食った古今亭寿輔、高齢者っぽい話し方で進める瀧川鯉昇、亡くなった歌丸の話で盛り上げる春風亭昇太。そして最後は「笑点」の答えとは違って、抜群に上手い三遊亭小遊三で〆る。
 愈々噺家バンド『にゅうおいらんず』が大拍手で迎えられ登場する。小遊三がトランペット、昇太がトロンボーン、ピアノは伸之介、ギターと司会は柳橋、それにプロのドラマーといったメンバーだ。
 演奏もするが、半分は掛け合いのお笑い。サイン色紙三枚の配布には「ボクシング協会の人は?」とか「日大アメフトの人は?」といった感じでの客席とのやりとりが面白い。
 ここは昼夜入れ替えなしということで、いい席を狙って入る人を押しのけて出てみたら、おぉ暑い。
 お後がよろしいようで…

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