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「800字文学館」

新春酔談

大森 海太

(お屠蘇を飲みながら)
 いやあ、去年もいろんなことがありましたなあ、世界中で。これが潮の満干のように行ったり来たりするだけのものなのか、それとも歴史の一大転換期なのか、あとになってみないと分かりませんよね。
 自国第一主義とやらが蔓延しているようですが、このまえ早稲田で西洋史の某教授は、ナニ気にすることはありませんよ、こういうものは繰り返しですから、あと何年かしたら世界皆兄弟なんて言い始めるに決まってますよ、と悟ったようなことをおっしゃる。さあ、どうかなあ。

(ここでもうイッパイ)
 こないだも近所のスーパーに行ったら、そこらのおばちゃんやおじちゃんたちが最近の情勢について口角泡を飛ばして、「私はこう思うのよね・・・」「イヤ俺の考えでは・・・」とご高説を披露しあっている。フン、どうせ新聞か週刊誌、テレビのワイドショーの受け売りだろう。
テレビといえばなにかと街頭インタビュー。
「消費税増税について街の声を聞いてみました」
難しい顔をしたおじちゃん「財政再建のためにはやむを得ないでしょう」
厚化粧のおばちゃん「家計に響くので困りますね」
そんなこといちいち聞かなくても分かっとる。

(さらにもうイッパイ)
 だいたい政治とスポーツが見世物みたいになって、マスコミと持ちつ持たれつ。それをテレビ桟敷の特等席で朝から晩まで観戦して、どうのこうのとコメントしてみたって、所詮はお客さんですよ、マスコミの。
 アメリカの寅さんやヨーロッパのメル婆メイ婆、ロシアのプーにチャイナのシュー、お近くの金さんに文さん。虚々実々、毎日気の休まる暇もなくて大変ですなあ。けれども歴史の流れがどう変化していくのか、彼らだってホントはよく分からんのじゃないかな。結果論ではなんとでも言えるが、正直これからどんな世の中になることやら。でもあんた大丈夫、じきにお迎えが来ますワ・・zzz。
(勝手なことを言いながら寝てしまった。まあ天下泰平、めでたいめでたい)

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