教養・月の話
太陰暦 九月二十四日(陰暦八月十五日)には仲秋の名月が見られた。陰暦では七、八、九月、太陽暦では九、十、十一月を三秋(初秋、仲秋、晩秋)といいその真ん中を仲秋という。
月の満ち欠けは月齢という数字で表す。月が地球と太陽の真ん中にある新月のときを月齢ゼロとし、一日経つと月齢は一増える。月齢三のときの月を三日月と呼ぶ。陰暦の十五日即ち月齢十五の日に満月、望の月になる。満月の一日前は小望月、満月の後は十六夜、次いで立待月、居待月、臥待月、更待月と呼ぶ。陰暦の九月十三日(太陽暦十月二十一日)の月を十三夜、後の月、名残りの月と呼ぶ。昔は、夜は月しか眺めるものが無かったのか、心から月を愛でる風流心があったのか?
ファンタジー 月の陰の部分(海)の模様を日本では兎の餅搗きと見做すが、アジア諸国では蛙、飛び跳ねる兎、ヨーロッパでは驢馬、蟹、女性の顔など、アメリカでは鰐、バケツを運ぶ少女などと地域ごとに見立てが異なる。
月の直径は約三千五百キロ。グレープフルーツを地球とすると月はキンカンの大きさに相当する。重力は地球の六分の一なので宇宙人に過大な筋肉は必要ない。
科学 月表面のクレーターは陸の部分のみに存在し、隕石の衝突から生じた角礫岩が主成分である。海の部分にあったクレーターは後の噴火による溶岩(玄武岩)によって覆われたといわれる。
日本の月周回衛星「かぐや」は、月の海に直径六十米、深さ八十米の竪穴を発見した。これは富士山の風穴のような溶岩チューブで、その後の調査により月面下に数十キロの長さの空洞があることが判った。宇宙線を遮ることができるので、月に大規模な開発基地ができる可能性を示唆している。
寓話 その昔の竹取物語は、両親に宝物を残して、月へと旅立つ孝行娘の「かぐや姫」の話だが、現代版は、父親の設立した会社から父親以下番頭をことごとく追い出し、会社の経営を危くした親不孝娘の話である。その人の名は、人呼んで「大塚の家具屋姫」。