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「800字文学館」

元気に年を重ねたい

斉藤 征雄

 今年も新年早々いつもの病院で人間ドックの健診を受けた。一年間元気に酒を飲み楽しく暮らせるようにとの思いを込めて、お賽銭にしては少々値が張るが、半ば初詣祈願の気持ちである。
 後期高齢者に近づき先が見えてきた人生ではあるが、仏教の教えのごとく「よりよく死を迎える」ためには「よりよく生きる」ことにしかず。元気で健康に年を重ねることができればそれに勝るものはない。

 亡き日野原先生によれば、健康に年を重ねるための三つのキーワードは「体」「心」「社会性」であるとか。つまり重度の病気がなくそれ相応の生活を維持できる体、精神面での生活を楽しめる心、それに家族以外の仲間と活動ができる社会性を持つことだという。
 社会性については、企業OBペンクラブが絶好の場で十分カバーできている。「書こう会」「読もう会」「俳句」「月例会」と多彩な上にすべて飲み会付きだから申し分ない。そうした活動を通して、心も楽しみ癒されている。

 問題は体である。病気にかからないことはもちろん第一だが、年をとっても身体を鍛えることが重要だそうな。それについては、若い時から一貫して怠ってきたので甚だ心許ない。
 最近話題の本『長寿の習慣』(奥田昌子著)にも、老化を止める効果があるのは運動、特に足の筋肉を鍛えよと書いてある。何でも足には全身の筋肉の半分が集まっていて、足の筋肉が強くなると全身の血のめぐりが良くなって心臓と肺の機能が高まるそうだ。

 それでは、ということで、近くの渋谷区のスポーツセンターのジムへ通うことにした。この施設老人は無料だが、休日以外はガラガラで運動器具は使い放題である。体重3キロ減の目標と、時速5キロで30分ウオーキング二回の運動メニューも決めた。シューズも新調した。これで年末ごろには見違えるように脚力がつくだろう。
 しかし早いもので、立春も過ぎ二月も中旬。早く実践を開始しなければ今年も計画倒れに終わる、と焦燥する日々である。

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