隣とは仲が悪い
隣とは、仲が悪いというか劣等感と優越感の入り混じった存在である。芝生は隣の方が青いが、にゃんこはウチの方が可愛い。
隣国同士でも古くから統一王国であった英国とフランスの諍い事は歴史を賑わせている。フランスは国の反対側では小国乱立の弱小ドイツを苛めたが、そのドイツはプロシャで統一されると真っ先にフランスに仕返しした。仕返し合戦は近代を通じてずっと続いた。現在でも英国騒ぎは別として、仏独を中心とする大陸のEU諸国も一枚岩かどうかは疑わしい。
日本も同様で、近隣諸国とは国家間は険悪で、国民同士も好意を持っておらず、戦争に至らずとも武力衝突の可能性は全くの冗談とも言えない状況である。
仲良さそうな北欧でも、フィンランドは周辺の王国とは何かと協調せず、エアラインも王国三国のSASとは別のFinairを運航してコアなファンを獲得している。
大阪都構想にしても、「めっちゃええやん、そやけどミナミと一緒は堪忍やで」というキタの住人のギャグがあるやに聞く。浅草がある東京の台東区は隅田川西岸にある。故に墨田区など東岸に圧倒的優越感を持っている。彼らの言う「川向う」は江戸の昔からの伝統ある差別用語であるらしい。しかしこの言葉には千代田のお城の近辺への台東区の劣等感が伺える。さらにその先の葛飾区は江戸川で千葉県と隣り合っているが、葛飾亀有公園前派出所の両津巡査は、「何、あの川の向こうも日本なのか」と千葉県民を同胞と認識していない。
漫才のU字工事に「栃木のライバルといえば神奈川だべさ」というギャグがある。関西の人には理解し難いというが、山梨県出身の私にはよくわかる。山梨の周囲には、埼玉、東京、神奈川、静岡、長野という巨峰が聳えておりライバル意識など持てる訳もなく、自虐に走るか、平身低頭するしかない。それだけに風林火山、甲斐の武田は今でも甲州人の異郷で生きるよすがである。「信玄公と呼べ」と強要することくらいは許してほしい。