俳句を学ぶ ~「石の上にも三年」とは言うものの
若葉して人それぞれに新時代 まさお
「平成」から「令和」へ元号が切り替わり、新しい時代が始まった。元号についてはいろんな議論があるが、西暦だけでは区切りがないので元号が変わることは人生に区切りのインパクトをつける意味でも私は新鮮さを感じる。
そんな新時代「令和」への気持ちを込めて詠んだ句である。それがたまたま五月二日の句会だったので時宜を得ていたし、新時代という言葉に共感してもらったのか句会メンバー三人から選句されるという栄に浴してすっかり気分を良くした。
しかしながらそんな気分を吹き飛ばすように、句会主宰の西川知世先生からは厳しい句評をいただいた。
曰く、「新時代という言葉が良くないですね。元号が変わった翌日の今日だからなんとなく判るような気がしますが、一年経ってこの句を見ると新時代が何のことか判りません。何らかの前置きの説明が必要になるでしょう。そういう意味で新時代という言葉が普遍的かどうかです」
なるほどと思いながらも、何だかもやもやしていると次の言葉が続く。
「俳句は、自然のモノや、いつの時代にも通用する普遍的なコトを、自然体で詠むのが基本です。
自然体という点では、“人それぞれに”という言い方も気になりますね。何か理屈っぽく聞こえます。同じ言うなら、“人にそれぞれ”が良いでしょう」
「人それぞれに」だと「それぞれ」は「人」を修飾するように聞こえるが、「人にそれぞれ」だと「それぞれ」は新時代を修飾する。正に日本語の難しさと面白さだ。「目からうろこ」の思いで感心した。
かくして拙句は次のように修正し、「新時代」の妥当性には目をつぶってもらうことにした。
若葉して人にそれぞれ新時代 まさお
俳句を始めてまもなく三年。「石の上にも三年」と言うが、私のお尻の下の石は一向に温まる気配がない。この分では新時代「令和」も、私の俳句にとっては苦節の時代を覚悟しなければならないようである。