作品の閲覧

「800字文学館」

SMAPと民放局の忖度

清水 勝

 7月は次の3つの芸能ニュースがお茶の間を賑わせていた。

  1. ①ジャニーズ事務所の創業者ジャニー喜多川社長の死去(7月7日)
  2. ②公取委がジャニーズ事務所に、元SMAP三人の出演に圧力をかけた疑いで注意(7月17日)
  3. ③宮迫問題で吉本興業の対応(7月20日以降)

 ①③については各局のワイドショーで必要以上に放映されているが、②については、お座なりの報道で終わった。
 最初の②の報道は、NHK『ニュースウオッチ9』のトップニュースであった。
 内容は、ジャニーズ事務所がSMAP元メンバーの香取慎吾、草薙剛、稲垣吾郎を出演させないようにテレビ局に圧力をかけた疑いがあるとして、公取委から注意を受けたというものであった。経緯や街頭インタビュー、さらに社会部の記者が解説していた。
 これは翌日の民放ワイドショーで大きく取り上げられるだろうと思った。ところが、各テレビ局は公取委から事情を聴かれた当事者であるにも拘らず、ごく一般的な紹介で、ジャニーズ事務所の公式コメントを読み上げるという姿勢だった。
 現実問題として、あれだけテレビに出演していた三人が、ジャニーズ事務所から独立後は、レギュラー番組が打ち切られ、今ではCM以外は民放テレビでの出演が無くなっている。特にテレビ朝日は香取慎吾の『SmasSTATION』、草薙剛の『ぷっすま』が独立後いつの間にか打ち切られていた。
 こうした背景があるためか、同局の看板番組『ニュースステーション』では採り上げなかった。
 思うに、圧力の証拠はなかったものの、テレビ各局に影響力のあるジャニーズ事務所への忖度が働いたのではないか。芸能界の問題だと軽く考える訳にはいかない。こうした忖度が他の方面で行われている可能性もあり、注意する必要がある。
 例えば、スポンサーである企業の問題に対しての気遣い、忖度。そして政治権力者への迎合と忖度。
 もしジャニーズ事務所への忖度がないのなら、秋の新番組で示して欲しい。

作品の一覧へ戻る

作品の閲覧