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「800字文学館」

アポロ11号月面着陸五十周年特別配信番組を見て

安藤 晃二

 昨晩、テレビで、米国NASAによる特別配信放送を見た。1969年のアポロ11号月面着陸50周年記念番組である。
 その時、私は着任間もないニューヨーク駐在員、単身赴任で、クィーンズ地区の下宿にいた。家主夫妻が夏の休暇で家を空け、私が留守番で占拠して、居間のTV前に陣取り、その七月の真夜中の出来事一部始終に胸躍らせていた。宇宙からの難儀な通信が伝える映像は月面での宇宙飛行士の一挙手一投足に集中され、この現実の瞬間に感動する。20世紀を伝えた男、ウォルター・クロンカイトの笑顔も懐かしい。

 当時のニュース映像の再放送かとの印象をもって今回番組を見始めたのだが、NASAは、この歴史的出来事で起こった多くの事象を編集し、なかなか見応えがあった。アームストロング船長は他界しているが、ヒューストンのコントロールのキーパーソンはじめ、重要人物が多く生存している。何百人が加わったチームで、究極の判断はミッションコントロールの指令責任者と宇宙飛行士に任されていた。問題に対し「判断し行動」をとるしかない。議論の時間はない。着陸船が母船から切り離され月面に向かった速度は、何と時速7,000km、「着陸か、中止か、激突か」を辿る薄氷を踏む時間、その肝心な最中アラームが鳴る。原因不明、着地15秒前にコンピューター負荷の警鐘と断定、続行してミッションは成功する。司令塔が述懐「人が行う何万の手続きの全てが上手く行った」。二人が月面にいる間、母船に独りコリンズ飛行士、この時間人類で最も寂しい男と評されたが、本人の述懐はさにあらず、「宇宙を制した気分だった」番組は、当時の家族の様子、「お祝い」と「お悔やみ」の二枚のメッセージを懐に待ったニクソン大統領も最後は笑った。

 先週フロリダでは、ペンス副大統領により数年後のアルテミス計画と、実機が紹介された。月面に基地建設、火星に向かう。いまや世界の協働事業で進められる。アルテミスはギリシャ神話でアポロンの双子の妹である。

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