作品の閲覧

「800字文学館」

よさこいよさこい

塚田 實

 47都道府県で足を踏み入れたことのなかったのは高知県だけだった。いつか行きたいと思っていたので、よさこい祭りの時期に訪れた。本祭は8月10日、11日なので、9日高知に入り、観光もして13日に帰ることにした。
 じっくりと旅を味わうため、往路は新幹線で岡山まで行き、南風号に乗り換えて瀬戸大橋を渡り、四国を縦断して高知に入る。

 よさこい祭りは2日間たっぷり楽しんだ。200を超えるチームが16か所の競演場・演舞場で踊りまくる迫力には圧倒される。観光は高知城や日本三大がっかり名所の一つと言われるはりまや橋、外国人にも人気のひろめ市場などを回った。高知城は江戸時代に建造された天守、本丸御殿と追手門が現存する日本唯一の城だ。桂浜は台風10号が近づいていることもあって、波が荒く白波が立って一層趣があった。龍馬像から海を眺めると水平線が微かに丸く見える。坂本龍馬博物館では、幕末の英雄の人柄と心意気に親しく触れた。「龍馬をめぐる女たち」の特別展もあり、お龍や寺田屋お登勢のほか様々な女性が紹介されていた。牧野植物園も良かった。牧野富太郎の植物にかける並々ならぬ情熱には心打たれる。31番札所竹林寺への急峻な遍路道が園内を横切っており、四国巡礼の厳しさを垣間見たような気がする。

 土佐料理は楽しみの一つだった。鰹の藁焼きタタキは定番なので塩とポン酢で夫々味わう。高知で初めて食した食材はウツボだ。ウツボはグロテスクな印象しかなかった。タタキを頼むと、濃厚な旨味が口一杯に広がり大満足。
 酒は、「酔鯨」や「土佐鶴」など東京でも飲める酒ではなく、高知でしか飲めない地酒を色々試した。
 もう一つ印象に残ったのは、「高知名物 屋台餃子 安兵衛」だ。川沿いの屋台で客が行列して待っている。餃子は小振りで焼きと揚げの中間の感じが何とも言えず美味しい。

 実り多い旅を無事終えて、台風から逃げるように高知龍馬空港を飛び立った。

作品の一覧へ戻る

作品の閲覧