アイスランド
ヘルシンキから3時間でアイスランドの首都レイキャビックに着いた。私は北大西洋に浮かぶこの島国についてまったく知識がなかった。
先ず知ったのは、この島が大西洋の海底を走る北米プレートとユーラシアプレートの境界(海嶺)の上にあり火山で隆起したこと。深部から上昇するマントルが固まったプレートは西と東へ裂けて移動するから、そこには深い裂け目(ギャウという)ができる。地表でそれが見られる珍しい場所だった。
アイスランドはまさに火山の島である。3年に一度くらいの頻度で大きな噴火が起こる。そのため国土の大部分は、溶岩の塊が覆い尽くしている。
気候は、暖かいメキシコ湾流の影響で緯度の割には温暖、しかし南下する北極圏の冷気と接する位置にあるため天気の変化が激しく風が強い。
そして氷河である。温暖化で年々融けているらしいが、今でも国土の1割を氷河が覆っている。
人類はこのような過酷な島にも新天地を求めてやってきた。アイスランド人の祖先は、一部のケルト系を除けば多くはノルウエーのバイキングである。現代でも、バイキングの歴史物語「サガ」が語り継がれ、小学生の教材にもなっているという。
人口は34万人。面積は北海道+四国だから多くが手つかずの自然である。皆が家族のようなものだから政治は非常に身近なものだとの説明があったが、この人口で一つの国家を維持していくのは大変だろう。
産業は伝統的な漁業や羊の放牧の他、地熱発電によるアルミ精錬、観光、ITなどがあり、経済は順調という。リーマンショックの時、国家破綻寸前までに至った金融危機を奇跡的に乗り越えて回復したといわれる。地熱による暖房や温泉の供給など高福祉とも聞く。
地球上の人々の営みは様々だが、まだまだ知らないことばかりだ。そしてあらゆるところで活躍する日本人がいることに驚く。アイスランドにも少数ながら日本人社会があるらしい。日本大使を入れて時々家庭料理で懇親会を催しているという。