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「800字文学館」

頑張る!銚子電鉄

清水 勝

 銚子のヤマサ醤油工場見学後に犬吠埼へ。工場近くの銚子電鉄「仲ノ町駅」に行ったところ、昼間は1時間に1本だけ。そこで駅舎周りをウロウロすると、棟続きに「銚子電鉄株式会社」の表札があった。訊けばここが本社だという。トイレも乗客と兼用で、職員もいろんな職務を兼用している。時に切符販売、時に電車入れ替え作業員、その他名物『ぬれ煎餅』の販売、改札要員等々24名の全職員はなんでもこなしている。そういえば社長さんは就任直後に電車の運転免許を取得され、イベント列車を自ら運転される。
 何しろ赤字会社で、常に廃線の危機に瀕している。過疎化による乗客の減少が原因。さらに平成18年には国交省の監査により、老朽化の改善命令が出され、5,000万円の費用の捻出が必要となった。そこで副業で売っていた『ぬれ煎餅』を活用し「ねれ煎餅を買って下さい。電車修理代を稼がなくちゃいけないんです」と、HPに書き込んだところ、大反響があって経営危機を免れた。
 『ぬれ煎餅』の次は「次のヒット商品を販売しないとまずいんです。スナック菓子『まずい棒』を買ってください!」と売り込んでいる。
 その他、駅名の愛称権も販売しており、始発の「銚子駅」は「絶対にあきらめない 銚子」(塗装会社)、終点「外川駅」は「ありがとう 外川」(ハウス会社)、人気のあるのは「笠上黒生駅」を「髪毛黒生」(養毛会社)との愛称。
 合格祈願切符も販売している。銚子を調子にかけて、①本銚子(本調子)行き切符、②本銚子発(本調子)「上り銚子(上り調子)行き切符、③「銚子⇦⇨本銚子」往復切符の3枚がセットになったもの。
 駅のポスターには「売るものが無くなってきたので、音売ります」とあった。何かというと着信音の有料配信で、電車の走行音、発車ベル等々を売り出している。

 どうか犬吠埼へはバスでも自家用車でもなく、銚子電鉄に乗ってください。車内もカラフルで、9駅6.4キロ、20分を今日も走り続けています。

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