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「800字文学館」

好きなテレビ番組

内藤 真理子

 テレビ番組の『ぽつんと一軒家』を好んで見る。出演者は所ジョージと林修、それに毎回違うゲストが二人。一軒家を訪ねて行く場面を映像で見ながらスタジオであれこれ話をする形で番組が作られている。
 ネーミングが良い。衛星写真で日本列島を俯瞰し、徐々にポイントを狭めてピンポイントの〝ぽつんと一軒家〟を上空から見せる。
 たいてい周りには手つかずの自然が残っている。そこにいるのは、ずっと当たり前に暮らし続けている人、離れたくない人、帰って来た人、好きで移り住んだ人など、様々だ。
 過酷だろうし、孤独だろうし、そんな生活をしているだけで、人間の迫力が違う。
 一軒家を訪れるのは、有名人ではなく番組のスタッフで、近所の人とでも話すように、辺鄙な所で生活をしている理由を聞いていく。聞かれる方も、ごく自然に、住んでいる訳や普段の生活を話す。
 スタジオにいる所ジョージなどのコメンテータが、一軒家の住民の映像や話から、その人生や生き方など思ったことを言い合う。
 素朴で魅力的で、ホッとする番組だ。たぶん、製作費もたいして掛かっていないのではないかと思う。

 もう終わってしまったが、製作費の安そうな「ローカル路線バスの旅」も面白かった。明るく爽やかな俳優の太川陽介と漫画家の蛭子能収、それに毎回違うマドンナとで、決められた出発点から終着点まで、路線バスだけを使って、三泊四日の旅をするという番組である。
 見どころは、ひたすら、決められた通りに達成できるかどうかで、旅番組なのに、名所旧跡は二の次だ。旅が始まる直前にルートが明かされるらしく、地図を見ながら、またバスの営業所で知恵を借りながら進む。それでも達成できないこともあり、毎回ハラハラしながら見ていた。時々バスの中で蛭子さんがマドンナの似顔絵を描くのだが、本人よりも数段ブスに出来上がる。ムッとする女優も、天真爛漫な蛭子さんも、全部を包み込むように仕切る太川さんも、魅力的でホッとする番組だった。

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