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「800字文学館」

英語は難しい。 Don‘t Die!!

吉田 眞人

 米国大統領選挙迄あと4ヶ月。今回は、サンダースが民主党予備選挙から早い段階で撤退を決め、本選は「トランプ対バイデン」に決まった。
 前回4年前の本選は、「トランプの勝利」というより「不人気ヒラリーの敗北」であった。前々回の本選でオバマが勝った激戦州6州のうち5州で、ヒラリーはオバマ票を軒並み大幅に減らし、一方トランプはロムニー票の上積みに成功し勝利した。又、フロリダ州では、双方とも得票を増加させたが、トランプ票の伸びが大きく、結局全6州での勝利となった。
 歴史にIFは無いが、ヒラリーがオバマ票の減少を半分で抑えることが出来ていれば、5州のうち3州で結果が逆転して、ヒラリー大統領が誕生していた。
 ヒラリー敗北の理由は色々あろうが、最大要因は、サンダース支持者が本選挙に行かなかった事であろう。今年も、サンダース支持者が本選に行くかが、勝負決定要因の一つとなる。

 さて、英語の話。
 1984年春に米国に出張の機会があった。時まさに民主党予備選挙の最中で、現職のレーガンに誰が挑むか、が争われていた。フィラデルフィアでの顧客訪問を終え、ホテルに戻ると、入口に近いバーに大勢の人が群れている。このホテルに選挙事務所を構えていたゲアリー・ハートが、同州での敗北を認めたまさにその時に遭遇したのである。悔しがる人、泣き出す人、ビールを呷る人等々で騒然としている。外から帰ったばかりの私達は、バーテンダーに向かい、何回か「ビールを呉れ!」と叫んだ。バーテンダーは、ハート支持者への応対でてんてこ舞いであったが、漸く当方の存在に気づき、こう言い放った。「Don‘t die!」
 確かに「Don‘t die!」と言った、どういう意味なのか?
 帰国子女である相棒に聞くと、「おまえ達の喉がカラカラに渇いているのは良く判った。今この通り忙しいが、順番にやっているから待て。待っている間に干からびて死ぬなよ」ということではないか、と言う。実に英語は難しい。

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