作品の閲覧

「800字文学館」

ミレニアル世代

斉藤 征雄

 80~90年代に生まれた世代を米国ではミレニアル世代という(Y世代ともいう。ちなみにそれより上の20年はX世代、更に20年上はベビーブーマー世代)。
 ミレニアル世代は、生まれた時からスマホやPCが身近な存在だったデジタルネイティブ世代だ。ネットでの情報検索、SNSを利用した発信や共有を日常的に駆使する。一人ひとりは個人主義に見えるが、情報を共有すれば仲間意識も強い。高学歴で、モノよりコトに重きを置き、社会への関心や貢献の意識も高いといわれる。
 年齢が20~40歳の彼らは、X世代やベビーブーマー世代を人口で上回る。人種構成では白人比率が相対的に低い(56%程度、ベビーブーマーは72%)。

 今年5月一人の黒人が警官に殺された事件を機に、全米で盛り上がりをみせている人種差別撤廃運動(Black Lives Matter)を支えるのはミレニアル世代といわれる。デモは、インスタで日時や場所が表示されるだけで主催者はわからない。参加者は、黒人やヒスパニックに加え白人も多く含まれるという。

 金融危機以降の、最大の犠牲者がミレニアル世代といわれる。所得の伸び悩みに加えて住宅や家賃の高騰、医療保険加入の義務付けなどの負担が重なり、学生ローン支払い遅延が膨れ上がっている。
 今年の大統領選、民主党の予備選ではサンダースは格差是正を掲げ、公立大学の学費免除や学生ローンの返済免除などを打ち出して彼らの支持を集め一時優位に立ったが息切れして、バイデンが中道派の票を集めて民主党を制した。本選挙では、ミレニアル世代の票がバイデンに行くのかトランプに流れるかで大統領が決まるという。前回トランプが勝ったときには、ミレニアル世代のかなりの票がトランプに流れたとの分析があるらしい。

 ミレニアル世代が、アメリカを牽引しようとしている。そうした中で、日本のミレニアル世代はどうであろうか。彼らにバラ色の未来があるとも思われないが、鳴かず飛ばずの彼らは世界でも特異な存在かも知れない。

作品の一覧へ戻る

作品の閲覧