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「800字文学館」

日本の子供は幸せか

野瀬 隆平

「幸せ」とは何だろう。ある人が幸せかどうか判断する絶対的な基準は無い。しかし、異なる人たちが、どのくらい幸せかを比較したい場合には、何らかの基準が必要だ。

 世界各国の「子供の幸福度」を調べた結果が、ユニセフから発表された。どのようにして幸福度の基準を定めたのだろうか。この調査では、次の三つを判断の要素としている。
 1.精神的健康度(mental health)
 2.身体的健康度(physical health)
 3.技術(skills)
 身体的に健康かどうかは、他の基準に比べれば、より客観的に評価することが出来る。ここでは、子供の死亡率と、過体重・肥満の子供の割合から評価している。
 では、精神面での健康はどの様に評価したのか。レポートによれば、生活に満足している子供たちが、国ごとにどの位いるかの割合と、子供の自殺率から評価したとある。ただ、「生活に満足」が具体的にどのように計測されたのかは、分からなかった。
 ところで、三つ目の評価基準の「技術」。英語ではskillsと表現されているが、読み書きそろばんのような単なる学力だけではなく、「友人を作る能力」(making friends)という項目が含まれているのは、少々意外だった。
 日本の子どもたちは、学力の面では平均より上であるのに、「友人を作る能力」では40か国の中で最下位に近い39位である。これは、日本の子供たちの精神的な健康度が極端に悪く37位であることと、深く関わっているのではないかと思われる。身体的な健康度が1位であるのとは正に対照的である。

 気になるのは、三つの要素を合わせた総合順位であるが、1位はオランダ、2位デンマーク、3位ノルウエーと続き、日本は真ん中の20位。最下位はチリで、アメリカはそれに近い36位だ。トランプ大統領でなくても、これでは駄目だ。アメリカを何とかしなければという気になる。
 中国やロシアの子供たちが、どのあたりに位置するのか知りたいところであるが、残念ながらOECDに加盟していないので、この調査の対象外であった。

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