山火事
今年はコロナのほかに異常気象のためか、オーストラリアやアメリカ西海岸で大きな山火事が頻発し、コアラが多数焼け死んだり、カリフォルニアだけで東京都の何倍もの面積が消失するなど、想像を絶する被害が報じられている。これについては近年のCO2濃度増による地球温暖化が原因である、との説がもっぱらである。
話はかわるが今から一万年前、地球はそれまでの洪積世、小氷河期の繰り返しから沖積世へ移行し、気候が温暖になったことにより人類は各地に定住して農耕、牧畜が始まった。ところが7000年前、アフリカ北部から中東、東アジアにかけて広く乾燥化がおこって、緑のサハラは砂漠と化し、人々は水を求めて大きな河川のほとりに集まり、乏しい水資源の活用に工夫を凝らす中から記録のための文字が生まれ、文明の発祥に至ったという。
ユーラシア大陸では2世紀後半から約400年の寒冷期に入り、農業生産が低下して、ローマや漢のような大帝国の維持が困難になるいっぽう、北の遊牧民族が南下を始め、玉突きでゲルマン民族や五胡が侵入した。混乱の結果生まれたのがフランク族出自のカロリング王朝と鮮卑拓跋部系の隋、唐であって、その相似性が認識されている。
11~12世紀になると地球は温暖となり、農業技術の向上と相まって世界各地で人口が増加したが、14世紀に入ると徐々に寒冷化し、ペストの大流行もあって人口は減少に転じた。
このように長い目で見ると、地球の気象は周期的に寒暖その他の変化を繰り返しているようだ。さすれば近年の地球温暖化もこのようなサイクルの一環であって、CO2増の結果だけではないという見方もあり、事実そのように主張する人もいる。そうは言っても、地球上で数億年かけて形成されてきた化石燃料を短期間で消費しているのだから、やっぱり影響がないとは思えないし、などとアレコレ愚考してみるのだが、浅学非才の酒徒には手に余る。碩学博識の諸賢の見解を待つばかりである。