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「800字文学館」

アニメ映画『鬼滅の刃』

清水 勝

『鬼滅の刃』は「少年ジャンプ」に連載(2016年2月~2020年5月)され、全22巻の販売冊数は1億部を突破するという人気コミックである。そのアニメ映画『鬼滅の刃~無限列車編~』が10月16日に公開された。大変な人気で、初日から三日間の興行収入は46億円を突破したという。
 流行に遅れまいと予約をしてTOHOシネマに行ってみた。驚いたことに全10スクリーンのうち4スクリーンで、時間をずらして『鬼滅の刃』が上映されていた。コロナの関係で50%の座席ではあったが全て満席。入場の際には「ジャンプ・コミックス」の小冊子が配布された。これによって、初めて『鬼滅の刃』を知った者にも物語の流れが解るのはありがたい。
 作者は「吾峠 呼世晴」(ごとうげ こよはる)。男っぽいペンネームだが実は30歳くらいの女性で、謎に包まれているのが、また人気の秘密のようで、ネットでは本名は「後藤晴子」「峠 春子」等々の憶測が流れている。
 ユニークなのは作者の名前だけではなく、登場人物の名前も難しい。主人公は竈門炭治郎(かまど たんじろう)、大活躍する炎柱は煉獄杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)、イノシシ頭の嘴平伊之助(はしびら いのすけ)、鬼・上弦の参は猗窩座(あかざ)、鬼・下弦の壱は魘夢(えんむ)という。小学生が読めるかと思ったが、コミック本はフリガナが付いていた。
 ネタバレとなることからストーリーは略すが、鬼との戦いのシーンがアニメならではの激しい動きで描かれ、その音響も凄い。
 鬼を殲滅する戦いは際限なく続くが、人間を襲うこの鬼どもは、災害であり、難病であり、細菌やウイルスともいえる。それだけに最後のシーンで煉獄が竈門炭治郎に遺言的に語るセリフが印象的であった。
「己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと、心を燃やせ。歯を食いしばって前を向け。君が足を止めて蹲っても時間の流れは止まってくれない」
「絶望を断つ刃となれ」
 ぜひ、お孫さんと鑑賞されては…

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