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エッセイ・コラム 日常生活雑感

アルバムづくりの楽しさ

田谷 英浩

 写真を趣味とする人は多い。しかしアルバムづくりを趣味とする人をあまり知らない。その妙な趣味を続けて60年。通常編が67冊、特別編は35冊になった。総重量250kg、写真を重さで計ること自体異常である。先年二階の負担重量を減らすため、順次階下へ移したが、毎年1冊2.4kg程度のものが出来上がる。

 今となっては、この作業にいつ取り掛かってもいいのだが、そこは長年の習慣で、5月の連休に入らないと重い腰が上がらない。

 年が変わった頃から駅の構内や旅行代理店の店先をうろつき、キャッチフレーズやヘッドラインに使えそうな旅行パンフレットを集め始める。同じ「北海道」や「沖縄」のレタリングでも気にいったものは少ない。

 一年分を作り上げるのに正味五日間、座禅僧のようなスタイルで正座する。順不同、乱雑に袋に入ったままの写真、送られてきたもの、貰ったもの、それらを部屋中に広げ、月別に分類する。

 1テーマが見開き2頁で収まるように、掲載順とレイアウトを考える。基本は1頁6~8枚だが、ただべったり貼ったのではプロとはいえない。

 カッターと鋏と頭で迫力あるレイアウトを考える。いくら探しても最適なヘッドラインが見当たらない時は、パソコンで作る。見開き単位に収まらない時は、残り1ページをどう処理するかで頭を悩ませる。

 月別に順を追って作業を進めている時はいい。アルバムの残り頁が少なくなってくると、終らせ方が気になってくる。1冊のアルバムにも展開やドラマが必要だ。この続きは次のアルバムでとはしたくない。

 見る方は5分もあれば見終わってしまうのだが、好きでやっていることだから、褒め言葉を強要するわけにも行かない。

 今年の作業は終った。仲間には将来邪魔になるだけだから、アルバムは作らないという人が多い。確かにその通り。しかしこちらは趣味なのだから今更止められない。

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